熊野古道プロジェクトで地方創生。日本ユニストが地域活性化を実現へ
更新日:2025/5/2

「付加価値の高い不動産を提供し社会に貢献する」。
ホテル開発・各種不動産開発などを展開する日本ユニスト(大阪市西区)の揺るぎない経営理念だが、会社設立当初は「儲けのみを追及し過ぎて、2度の組織崩壊を含めた様々な失敗を経験してきた」と今村亙忠社長は振り返る。組織変革の必要性を意識したのは創業5年目の時。「どうすれば組織として継続的に利益を生み出すシステムを構築できるか」をテーマに、多くの経営者との情報交換を遂行。会社の更なる可能性を拡げるため、IT企業出身および組織のマネジメントで結果を残した経験のある現・取締役の山口和泰氏を招聘し、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速化や斬新な内部統制など、既成概念にとらわれない積極的な改革を実践していった。
現在は、主な収益源である企画開発事業を推進すると同時に、未来に向けた持続的なビジネス創出を目指す「熊野古道プロジェクト」にも注力。世界遺産に登録された熊野古道周辺の宿泊施設不足に対し、巡礼コースに4つの宿を建設する計画を立案した。今村社長は「当社が地場に根差したビジネスを作ることで、その地域が活性化できるよう最善を尽くす」と意気込みを語る。既に2つの宿泊施設をオープンしており、周辺にこれまでにない彩りを加え始めている。復活しつつあるインバウンド需要に応えるためにも、残りの施設の完成が期待される。オープンした宿泊施設ではDX化が徹底されており、無人での運営を実施していることが特徴の1つ。熊野古道プロジェクトには大手デベロッパーではできない、きめ細かな配慮が随所に散りばめられており、日本ユニストによる唯一無二の地方地域の開発が現在進行形で行われている。
今村社長は、自社で培った宿泊業のDX化や地方創生のノウハウをセミナーなどで積極的に公開している。理由を聞くと「1社だけで実現できることは限られており、様々な企業が各地を盛り上げる状況を定着させなければ、日本全体が躍進することは難しいと考えているから」と即答する。その視線からは、同じ志を持った複数の不動産企業で日本を再興させるという強い意志を感じ取ることができる。不動産取引の透明化にこだわるのも「不動産業界の健全化=日本の成長に直結する」と信じているからだ。
「今後も不動産デベロッパーだからこそできる、常識に縛られない新しいビジネスモデルを開発していく。少子高齢化やグローバル化、コロナ禍など制約の多い状態が続くが、あらゆる物事にリスクを恐れず果敢な挑戦を続けていきたい」と展望を語った。長期的な視点とビジネスパートナーとの共存共栄。社員全員で明確な目標を共有し、飛躍を続ける日本ユニストから目が離せない。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。