WESTROCKが、プロとして業界のイメージ改善に注力
更新日:2025/4/28

WESTROCK(東京都大田区)が、6月に会社設立10周年を迎えた。これまでの道のりを上野秀行社長は「無我夢中に走り抜いてきたので、あっという間という表現が正しい感覚だ」と振り返る。アルバイトとして建設業界に入職後、結婚を機に新築・改修(民間・公共)工事業に携わり、給水装置工事主任技術者・排水設備工事責任技術者の資格を取得。個人事業主として起業し、現在は給排水・衛生設備工事、リフォーム工事など幅広く事業を展開している。

設立初年度より、安定的な仕事を確保し実施できていた。しかし、「今は会社として良いスタートダッシュを切るため、全力を出し切る時期」という意気込みの下、あらゆる業務を1人で背負い続けた症状が身体に表面化。医師からの「不整脈」と診断を受けたことで、「1人だけで全てを背負うのではなく、仲間を頼った形態に変えるべき」と悟り、徐々にバランスを見ながら、社員採用や協力会社に頼る機会を増やしたという。「経営者としては、『自分がどれだけ頑張るか』より、『どのように工夫すれば周囲が有機的に動き、良い施工に辿り着けるか』を考える大切な機会となった」と当時の心境を話す。今年5月には、全社員が石綿作業主任者の資格を取得するなど、会社として独自の戦略を推し進めている点も特徴的だ。


WESTROCKでは、水廻りの設備交換の際、床の貼り替えなど多くの工事を同時に依頼される需要を察知し、現在は内装から一式でリフォーム工事を請け負う体制を整備。これまで個別での依頼に頼らざるを得なかった顧客は、支払う総額の費用も軽減されることもあり重宝しているようだ。同サービスの開始以降、顧客からの新たな紹介を受ける機会が急増している現実を考えても、この経営者として決断は正解だったことが証明されている。「社員には良い生活をさせたい。そのためには単価を下げず、最高の施工をお客さまに届け、満足して頂く」という、創業当初からの理念と合致して点も見事である。


人員確保の対応など急務な課題解決が多い現況化だが、上野社長は「建設業界にクリーンなイメージに変えること」を最優先に考える。理由は、「30年近く業界に在籍しているが、関わりを持つお客さまから『リフォーム業者は悪徳ばかりで、どこに頼んでいいのかわからなかった』との声があまりに多かったから」。職人の仕事はDIYとは違う。プロとして、その境界はしっかりと線引きしつつも、悪評が浸透すれば、それは即座に自身にも直結してしまうことは自覚している。この負のスパイラルに少しでもプラスの要素を加えられるよう、上野社長は「協力会社などの仲間と常に連携し、業界のイメージ改善に全力を尽くす」と力強く語る。「私は、多くの仲間たちと1つ1つの仕事に本気で取り組み続けることで、建設業界のイメージアップが実現できると信じている。今後もこだわり抜いた工事に付加価値を生み出し、それを定着させることで業界の地位向上に貢献していきたい」。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。