伊田テクノカレッジを基軸に、盤石な体制の構築を志向
更新日:2025/12/1
「建設業を何も理解できていない状態で入社したんだ」

埼玉県に本社を置く伊田テクノス(埼玉県東松山市)の楢﨑亘社長が、少し照れながら打ち明ける。大学時代まで剣道に打ち込む毎日を送っていた。「全日本実業団大会で優勝を目指そう」と実業団チームを結成して間もない伊田組(当時)剣道部の先輩方に誘われ、「条件反射で入社したことがターニングポイントになった」と当時を振り返る。2018年には創業家ではない、プロパー社員として初めての代表取締役社長に就任。伊田登喜三郎会長からは、「今までは官庁土木が主流だったが、これからは民間建築を伸ばす必要がある。しっかりと会社の舵取りを担ってほしい」と全幅の信頼を寄せられ、現在も積極的な組織運営を続けている。


伊田テクノスでは、入社1・2年目の技術系社員を対象にした「伊田テクノカレッジ」という、約2年間の教育プログラムを完備している。独自のシラバスに沿って年間200時間以上を費やす基礎研修では、週に1度のペースで工程・原価管理やCADの扱い方、現場実務研修などを行うことで、技術者を早期に育成できる体制を整えている。伊田テクノカレッジは、埼玉県の職業訓練校に認定されており、実戦的な教育で若手を迅速に戦力化できる育成プログラムは、「建設人材育成優良企業」として国土交通大臣賞も受賞している。楢﨑社長は、「当社は、若手とベテランは多く在籍するが、30代後半から40代の社員が極端に少ない。この状況を考慮した上で、伊田テクノカレッジは多大な役割を果たしている」と率直に答える。現状打破のために導き出した答えは「若手を多く採用し育て上げること」。この4年間で新卒を70人ほど採用し、建設ディレクターの資格を保有する社員を9人に増やした。盤石な組織基盤を構築するための取り組みを継続することで、今後に備えている。


楢﨑社長に「目指す会社像は?」と聞くと、「地域社会から必要とされる会社になること」と語った後、「社員からは『伊田テクノスで働いて良かった』と実感されたいな」と微笑む瞬間があった。後者に関しては、「多くの社員が『ウチは良い会社だから入りなよ』と、友人だけでなく自分の子供・孫などに対しても、自然と行動を起せるようになることが理想」と具体例を提示。「社内をこのような環境に変えるため、あらゆる施策を打つことが私の重要な責務」と明確なイメージを提示する。「建設業は、何もないところから、様々な業種の人々が関わり合い、1つのプロジェクトを完遂できる魅力的な産業。この強みを意識し、当社では誰が入社しても、一人前に育てられる体制を強化していく」と断言する眼差しには熱い情熱が帯びている。


この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








