日本防水工法開発協議会が時代を見極めた連携を継続
更新日:2025/6/23
防水や防触、塗装業などの専門工事会社で構成する日本防水工法開発協議会は、会員企業が現場の発想に基づき、各種工法・商品の研究開発や保証の発行などを実施している。雨・風・紫外線などを受ける建築物を、どのようなアプローチをすれば最適に保護できるかなどを、工事会社ならではの視点で提案していることが特徴である。


吉田喜廣会長は、「当協議会は、お客さまの利便性向上と工事業の発展を、建物の長寿命化やリサイクルの観点などから手掛けることを目的に創設した。直近では、電気代・資材高騰の影響もあり、建物の熱負荷を低減する『屋上防水エアーコントロール工法(NETIS登録)』やエアコンの電力削減商材『CONTINEWM』が注目されている。これからも時代の潮流を見極めた技術開発・施工を続け、需要に合致した活動を継続していきたい」と経緯を語る。協議会の活動では、AチームからGチームまでグループを作り、会員各社が取り組みたい開発テーマをそれぞれが提案。少人数のグループ内で持ち寄った案を掘り下げ、それらを展示会やインターネットなどを通じて全国に情報発信するなど、独自の展開も強めている。特に金属折板屋根の上にシートを設置するだけで屋根裏温度を20℃程度下げられる「冷えルーフ」が、ランニングコストゼロかつ短工期の施工で省エネを実現できると周知されると、全国から多くの問い合わせが押し寄せ、近年の猛暑を乗り切るサポートに繋がったという。国外では台湾や韓国、フランスに赴き、現地のイベント参加や防水業者との情報交換を積極的に行うなど本質的なニーズを調査。「『冷えルーフ』のような製品は、現時点では海外には存在していない」と結論付け、海外展開も本格的に視野に入れた活動も見据え始めているようだ。


最近では、岩手県北上市などを中心に半導体関係の工場を建設する際、日本防水工法開発協議会および会員の推進する技術が導入されるシーンが目立つ。このような傾向を吉田会長は、「当協会が培ってきた技術が貢献できるなら惜しみなく提供し、更なるお役立てになるよう開発を加速したい」と展望を語る。会員企業と共に長年追求し続けたテーマを議論・共有した後に、商品化していく過程は「何物にも代えがたい経験になる」と語る。現段階では協議会独自の特許商品は出ていない。しかし、どのような変遷を経て次世代を救う技術が新たに生み出されるかは、非常に興味深い点である。


「今後も、お客さま・現場に掛かる負荷を極限まで軽減するための活動を続けていく。近年では天変地異が頻発し、産学官でこれまで以上の連携を見せなければ、フォローし切れない状況も増えている。当協議会は、専門工事会社が集結するスペシャリスト集団。不測の事態に対応するためにも、更なる知識と経験を蓄積し、常に改善・改良を繰り返すスタンスで現状打破に取り掛かりたい」。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。