クラフトバンク総研

ショールーム創設の翔工務店が、体制強化と躍進を見据える 

更新日:2025/4/29

翔工務店(横浜市青葉区)が、来年4月にショールームをオープンすることを発表した。場所は、田園都市線・江田駅から徒歩圏内を予定。会社設立から5期目に突入し、順調な発展をする時期に創設する理由を、山中勇次郎社長は「今から新たな策を打たなければ、いずれ行き詰まる可能性が高いと感じたから」と率直に答える。売り上げ3億円を安定的に保てるようなった今だからこそ、「会社の知名度を上げ、更なる普及促進を図りたい」と下した決断。これまでにない挑戦がどのような変遷を辿るのか興味深い。

山中社長は、リフォーム会社で営業を経験後、個人事業主を経て、2019年12月に「翔工務店」を法人化した。創業した動機の大部分を「これなら自分でも出来そう」という考えが占めており、当初は安易に会社を拡大できるものと考えていた。しかし、いざ起業してみると、社員のモチベーション管理から人材の配置、顧客のアフターフォローなど、予期せぬ様々な重要事項に気付かされ、即座に「会社経営の難しさや、気を抜くと危機に直面する怖さを思い知った」と振り返る。「あまり言いたくはないが…」と前置きした上で語ったのは、「最初の1ヶ月は、資金面が心配で新聞配達のアルバイトも並行していた」という過去。2年目からは屋根塗装工事、3年目からは足場工事を実施するメンバーが加わるなど、常に手堅く事業を展開してきたのが特徴であり、今回のショールーム創設を「会社の信用度を高めることで、会社としての体制も確立させ、職人の増員にも繋げたい」と見立てているようだ。

山中社長には、「5年を目安に売り上げ10億円を達成したい」という目標がある。その布石として、再来年からは不動産事業に進出することを想定。実現には、「職人が極端に集まらない現状を打破する必要がある」と認識しており、克服には「『自分にしかできない仕事』を限界まで減らし、あらゆる業務を社員に任せるスタイルを構築しなければならないと理解した」という。社長自身も「今が大事な時期。今回の選択が成長に不可欠な一歩だったと、後に振り返られるよう未来を変えていく」という強い意志を見せる。「継続的な成長を目指す上での最優先事項は、とにかく『人』。この一点を忘れることなく、今後も堅実な組織運営を心掛けていく。当社は、足場から屋根工事、外壁塗装まで完全自社施工で行うスペシャリスト集団。このプライドを胸に、会社一体となった挑戦を続けていきたい」と展望を述べた。

新着記事

  • 2025.09.05

    社員教育の重視で新たな勝負に挑む 武壱工業

    足場・鳶工事などに携わる武壱工業(山口県下関市)は、社員教育に重きを置く方針を発表した。伊藤武士社長が、スローガンに掲げたのは「日本の未来に貢献する人材育成」。これまで短期間での社員育成を試みたことはあった。しかし、今回 […]
    クラフトバンク総研記者川村 智子
  • 2025.09.04

    「地域の守り手」としての存在感を高める 伊東建設業協同組合

    今年5月に開催した伊東建設業協同組合の総会にて、堀口組(静岡県伊東市)の堀口正敏社長が理事長に就任した。50年以上の歴史を持つ同組合は、若い世代がリーダーシップを発揮する土壌が脈々と受け継がれている。就任直後の挨拶で堀口 […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一
  • 2025.09.02

    企業永続を見据えた組織化に本腰 姶良電設

    入社間もない頃、現場作業に従事している時は、順調に業績が伸びていると思い込んでいた。しかし、姶良電設(鹿児島県姶良市)の東鶴真児社長は「いざ決算書を見ると、初めて債務超過に陥っている現実を知った」と当時を振り返る。経営面 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.08.29

    新たなステージを見据えた活動に注力 ナガタ

    ナガタ(秋田市)の永田勲社長は、「現状維持は衰退の始まり。従業員を守るためにも売り上げを確保し、どのような状況下でもステップアップできる姿勢を貫く」という明確なスタンスを打ち出している。木造住宅の解体や再生可能エネルギー […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇