60年周年を節目に、安定の事業展開を目指す 長崎市管工業協同組合
更新日:2025/5/2
2024年に長崎市管工業協同組合が、発足から60年周年の節目を迎えた。同組合は、長崎市・長崎市上下水道局などの指導の下、安全・安心な水を安定供給するための活動を実施している。谷村正夫理事長は、「生活に重要な上水・下水を任されている私達が、これまで以上に適正価格かつ高い技術で業務に取り組む必要がある」と気を引き締める。長い期間、培ってきた高品質な施工・管理力をどのように進化させていくか注目である。

組合員らの業務は、穿孔工事やカッター工事、それに伴う舗装工事のみならず、水道メーターの改造・修理、取付・取替・納品、水道メーターの検針業務、上下水道料金の収納業務など多岐に渡る。「正会員の全社が市指定業者であり、その責任を全うすることが使命」と意気込みを見せる。特に検針業務と収納業務は、上下水道の利用者と直接接点のある実務であり、「常に人と人との触れ合いを大事にしながら、信頼関係を第一に業務を遂行している」と基本スタンスを話す。

組合では、通常事業に加えて、自然災害など有事の際は災害復旧に従事する。特に近年は毎年のように発生する寒波で漏水が頻発する。2023年1月には、県内各地で積雪が確認され甚大な被害を出したが、市民らの生活を一刻も早く回復できるよう、組合員を総動員し応急処置に当たった。甚大な災害が頻発化する中、地場に根ざす活動を徹底してきた組合への期待は大きい。1月の石川県能登半島地震の際も、組合員は復旧作業に入り上水道を修繕するなど存在感を発揮することができた。

谷村理事長は、組合が抱える課題を「就労者の確保」と即答する。県外転出する人材が多い現状を打破するべく、市内建設業の他業種・他団体と積極的な協調を推進。各々の魅力発信やイメージアップを目的にした業界PR、市内合同企業面談会を活用し入職者の確保などに奔走する日々を送る。管工事業の面白味については、管の口径や素材・用途の多様さ、上下水道・ガス・エアあらゆる流体を扱うことなどを挙げ「在任期間中に、可能な限りこの魅力を周知していきたい」と決意を新たにする。

組合が手掛ける事業の大部分は、成果物が土中や壁中に隠れ一見では把握することが難しい領域になる。しかし、「それら全てが市井の日々の生活に不可欠で、生命に直結し笑顔にも繋がる仕事である」と誇らしげに述べる。「原動力は、市民が喜ぶ姿」。全ての動機が極めてシンプルな分、説得力は増す状況が象徴的である。

谷村理事長は今後の目標を「組合事業のより一層の安定」と掲げている。60年に渡って培った知識・経験を磨き続けることで、次のステージに変貌を遂げることも夢見ている。「組合事業を通じ、真に市民から必要とされる存在になること」を目論む谷村理事長の思いが、確固たる地位を確立する日に期待せずにはいられない。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。