「AAAの施工と笑顔」で、KATAOKAが更なる飛躍を目指す
更新日:2025/4/29
三重県を本社に足場工事を手掛けるKATAOKA(三重県伊勢市)は、全国各地を対象にした足場工事や災害調査などに従事する。キャッチコピーは「トリプルA(AAA)」。完成度の高い施工と、「安心(A)、安全(A)、愛される(A)」という意味も込めており、日々の業務に励んでいる。

片岡響社長は、「最近では、大型スーパーや郵便局など、大規模な案件を任せて頂くことも増えてきた。足場なら伊勢ではどこにも負けない自信がある」と胸を張る。社会に出て仕事を始めたのが15歳の時。工場勤務や飲食店の厨房、鳶職などに従事した後、「足場工事に携わることが私の天命」と感じた。多様な就業経験の中から鳶職を選んだ理由を問うと「見た目の格好良さに惹かれたから」と即答する。20歳で弟子入りし、仕事を続けていく中で、「建造物がある限り、足場の仕事がなくなることはない。高所での作業にやりがいを感じられるのは、文字通り天職だと確信し、この世界で生きていくことを決めた」と当時の覚悟を振り返る。22歳での独立してからは、仲間と共に現場応援の仕事に励み、すぐに懇意にしていた塗装業者から「資材を貸すので足場を組んで欲しい」との依頼を獲得。初めて仕事を受託してからは、1度受けた仕事に最善を尽くす姿勢を徹底し、紹介による案件の量産と、顧客開拓のノウハウを蓄積。「自社でトラックや資材を保有以降は、着々と売り上げを伸ばす組織を形成できた」と経緯を語る。

短期間で会社としての成長を遂げる中、2020年春に発生した新型コロナウイルス感染症の影響は大きかったという。これにより、創業時から毎年倍々の結果を残してきた売り上げが、初めて半分近くに落ち込んだ。「その時点では、会社拡張のために人や機材を増やし、自社で全てを完結する目標を掲げていたが、コロナ流行を機に、協力会社の力も借りて、ランニングコストを落とす方針に切り替えた」と転換期を語る。当初は、変化に対する戸惑いもあったが「職人には日雇いでなく案件単位での依頼をルール化するなど、やりがいが得られるよう工夫を凝らしたことで、今期の売り上げを過去最高益に到達させることができた」と変化を話す。アクシデントで結果が落ち込んでも腐らず、即座に別の手法を模索し業績向上に向けた活動を開始する。片岡社長の突破力を象徴するようなエピソードで、協力会社から強く慕われるのも納得である。

KATAOKAのもう一つのキャッチコピーに、「みんなの笑顔が見たいから」がある。「鳶・足場屋は恐い印象を持たれがちだが、そのイメージを払拭したい。当社では、日頃から親しみを持たれるよう、会社のイメージキャラクターを作ったり、服装などをオシャレに変えたりと見えない部分にも気を遣っている。安全な足場を提供することで、職人は感謝して頂ける。しかし、当社の仕事ではプラスアルファで、建築工事を通じて全てのお客さまが笑顔になって頂ける『笑顔提供業』を目指している。当社の活動を通じて笑顔の連鎖が生まれるよう、試行錯誤を繰り返していきたい」と展望を述べる。

今後の目標を「3年後の売上を10億円に引き上げること」に設定。達成には、まずは現場の安全管理やマナーなど、凡事徹底を心掛ける必要があり、今夏には2名の外国人社員の入社を控えている。片岡社長の周囲には、塗装や電気、建材など様々な工種に携わる、昔からの仲間が存在する。直近では、「『KATAOKAに頼めば全てが解決する』という評判が定着するよう、今できる最善策を継続していく」と決意を述べた。周囲との関係を重視し、日に日に力を増していくKATAOKAから目が離せない。
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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。