新社長就任を機に、木村工業が更なる躍進を誓う
更新日:2025/11/6
今年10月1日、木村工業(名古屋市中区)の代表取締役に木村謙太氏が就任した。祖父・木村一郎氏が塗装屋として同社を創業したのが1940年。新卒で博報堂に入社後、順調な道を歩めていたので、そのままキャリアを全うすることもできた。しかし、「80年以上に渡り受け継がれてきた、確かな技術と信頼を自分も担いたい」と強い信念を抱けたことを機に、2021年4月に家業に参画した経緯を持つ。


入社直後から営業や現場などを担当し、真っ先に改革が必要と感じたのは「人材採用の面」だった。工事の需要は多いにも関わらず、人手不足と育成のスピードが追いついかず、取りこぼしていた歯がゆい現実を憂慮し、「早急に新たな雇用を生み出すための枠組みを広げた」と変革を振り返る。売り上げ面では、数社で売り上げの半分近く占めていた状況を、「限られた会社に依存するのは危険」と判断し培ってきた営業力で開拓。「工事屋」というマインドが強かった体制下において、多くの新規顧客を創出できたことで、バランスの取れた経営の見通しが立ったという。


今回の社長交代を受け、木村工業はコーポレートアイデンティティ(CI)を刷新した。新CIのメッセージとして掲げるのは「時を塗り重ね、建物という資源を未来へ」。建物は新築よりも「直して使う時代」に移行する流れを取り入れており、革新と飛躍への決意を明瞭に伝えるために変更を決めた。木村社長は「当社では新築・公共工事も手掛けているが、『建物の価値を護り、高め続ける』という理念を重視し、大規模修繕を含めたリニューアル部門に更なる力を注いでいく」と意気込みを改めて述べる。新しいコーポレートロゴには「円」をモチーフに、「縁」「和」「古いものと新しいものをつなぐ」「人と人をつなぐ」という意味も込めた。創業から積み重ねてきた経験・技術・知識を基に、時代の求める新しい取り組みの融合を心掛けていく方針だ。


木村社長は、「今後も『人』を最優先にした経営方針は変わらない。施工だけでなく、設計やコンサル部門など、これまでにない仕事を作ることも視野に、果敢な挑戦を続けていきたい」と意欲を示す。建物の修繕・改修を通じて資産価値を守るだけでなく、街の未来を支える役割も一心に担う木村工業。「建築修繕パートナー」として、今後も顧客の利便性向上や喜びに繋がる事業展開を目指していく。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








