髙工が地域最優先の事業展開を継続
更新日:2025/12/11
髙工(仙台市宮城野区)が今年、設立75周年を迎えた。節目の年の機に、3代目の社長を務める髙橋圭氏は、「人・技術・信頼で未来を拓く」という社是の実現に向け、改革の加速を決意した。「土木工事は地図に残る仕事。完工した数々の現場が子供・孫の世代まで受け継がれる事が誇りだ」と胸を張り、「地域に根差した建設会社として、皆さまに求められ、必要不可欠な会社と更に認知されるよう努力したい」と未来を描いている。



髙橋社長は、2017年に父・髙橋一夫氏の急逝を受け、想定外の形で代表取締役に就任した経緯を持つ。一夫氏は、仙台建設業協会の会長を務めていたこともあり、会社を離れる機会が多く、「社長が不在でも役員らを中心に業務を回せる組織だったことが、不幸中の幸いだった」と振り返る。「当時はあまりにも唐突な出来事で、社長として何から手を付ければ良いか分からなかった」と率直に語る。何とか状況を前向きに捉え直し、経営者としての視座を磨くために日本青年会議所(JC)の門を叩いたことがターニングポイントになったという。JCでは、異業種の会員を含めた様々な人々と交流を重ねたことで視野が広がり、2023年には建設部会の57代部会長に就き、幅広い知見を蓄積してきた。現在は特別顧問として、会員らと経営の本質を学びながら、人脈形成と自己研鑽のサポートを徹底。「組織を円滑に動かすには、対話の重視が必要」と自身の体験を交えた価値観を伝授している。


JC卒業後は「時代に取り残されないよう、社内の変革が必須」と自社が直面する現実と向き合い、採用活動の強化やDX推進など、次世代を見据えた基盤づくりに着手する。属人化の解消に向け、約15年分の業務・施工データを横断検索できるチャットボットの導入を進めている。「公共工事の受注者として、地域を回す歯車の1つとなる」との考えに基づき、施工力にも更なる磨きをかけており、その高い技術力と品質は2025年度の市優良工事表彰を5件受賞するという確かな形として証明されている。


髙橋社長は、建設業界団体の要職だけでなく、仙台の冬の風物詩「SENDAI光ページェント実行委員会」への参加や、5月に開催予定の仙台・青葉まつりへ祭連としての出場を通して、地域振興にも積極的な関わりを持つことも忘れない。「建設業は地域が存在してこそ意義がある業種。今後も仙台に貢献することを念頭に置いた事業を展開していく」との決意は固い。地元の活性化を最優先に考え、常に高い矜持を保つ髙橋社長の挑戦は今後も続いていく。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








