コデラが新体制に向けた改革を加速
更新日:2025/11/17
今年2月に小寺宏宜氏がコデラ(石川県白山市)の新社長に就任した。入社から20年近く経過した後に就いた重責。1年半ほど前から、父でもある会長・小寺洋志裕氏から「準備をするように」と言われていたこともあり、「常務時代から劇的な変化が起きた印象はない」と冷静な面持ちを見せる。現在は、北陸地区の鉄筋工事業者のリーディングカンパニーとしての誇りも引き継いでおり、地域社会から信頼される会社として歩みを続けている。

小寺社長は、「石川・福井・富山の北陸3県では、職人の待遇向上を果たすため、各エリア間での協力を継続することで、適切な単価を維持している」と現状を話す。職人の処遇を改善していくには、県単位での対応では限界がある。この現実を受け入れ、各県の組合を通した連携を実現したことで、「価格の値崩れは起きず全国有数の高さを保てている」と好循環を生み出せた要因を語る。目下の課題は、企業永続を見据えた人材採用の最適解を見出すこと。平均年齢40歳と若い組織だが、「現時点から新たな活力となる職人を採る体制を作らなければ、いずれ行き詰まりを見せるのは明白」と強い危機感を持つ。最近では、新卒だけではなく、中途に絞った人材獲得を模索するなど、改善を前提とした施策を試みるスタンスも特徴的である。

コデラでは、「安全・品質・納期」を最重視する方針を掲げている。理由は「この3つを徹底できれば、お客さまからは『この会社が携わった案件は、絶対に事故を起こさない』という評判が定着し、買い叩かれることはないと確信したから」と本質を述べる。「確かに鉄筋は完成後に見えるものではない。しかし、人間で言えば『骨』『筋肉』の役割を果たすように、鉄筋はあらゆる部門の下支えを担っている。この現実を誇りに日々の業務に取り組めることが最大の喜びだ」と話す姿が何とも自信に満ち溢れていて勇ましい。

この数年を目処に小寺社長は「社内の評価制度を見直し、社員も納得した上で給与を受け取れる仕組みを構築したい」と意向を示す。コデラに限らず経営者のさじ加減で所得が変動する企業はまだ多く残っている。現在は検討段階だが、CCUSの判定など客観的なデータとも紐づけることで、「若くても結果を残した社員が更なる上を目指せる企業」を心掛けていく。新体制での船出を迎えてから半年強が経過したが、社内は活気で漲っている。無事故かつ迅速な納期、高品質な製品の提供を続けるコデラ。新たな挑戦は始まったばかりだ。
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








