「揖斐川町なくして、久保田工務店なし」の精神で、更なる躍進を誓う
更新日:2025/6/5
久保田工務店(岐阜県揖斐川町)の久保田智也社長は、2020年に3代目社長に就任した。地域と先代への感謝と敬意を心に刻みながら、地域貢献を目的にした事業を数々と立ち上げてきた。「5年・10年先のことは誰にも分からない。だからこそ今を精一杯やりきることに集中したい」と意欲を見せている。

久保田社長は、大学で土木を専攻し、卒業後は県内の企業で8年ほど修行した経験を持つ。「修行を終えて30歳で当社に入社した際、上意下達の社風に愕然とした」と振り返る。それまで、土木一筋に邁進してきた為、青年会議所や青経塾などに参画し経営をゼロから学んだ。そのような場で同世代の若手経営者たちに出会えたことで「とにかく精神面が鍛えられた。社内では軋轢も起きたが、膝を付き合わせて思いを共有することで改革を進めることができた」と分析する。徐々にではあるが着実に変化を促す行動を続けた効果もあり、今では自然と社員から自由闊達な声が上がるようになったという。

久保田工務店は、売上の9割が土木を占める体制だったが、今後の公共工事発注量が減少していくことを見越し、いずれは土木と建築の割合を5割にするビジョンを掲げている。現在は、橋梁・鋼構造物の補修事業にも本格参入し、盤石な経営を実現するためにメンテナンスエキスパートの資格者を4人も生み出すことに成功。社長就任以降、少しずつでも組織変革と社員育成を手掛け続けたことが、ようやく実り始めた形となり、若手社員の更なる活躍が待ち遠しい限りだ。

久保田社長は、自身を突き動かし続ける衝動を「『揖斐川町に育てられたことへの感謝』と『地域貢献を通じて揖斐川町に恩返しがしたい』という地元への思い」と即答する。「揖斐川町なくして、久保田工務店なし」という継承されてきた教えも忠実に守っており、現在に至るまで地元にある各高校へ出前講座も継続。地元では、「ibikit cup」というサッカー大会の開催や、女子硬式クラブ野球チームの公式スポンサーを買って出るなど、持てる限りの全ての時間を、何らかの形で地域の人々との交流に費やしている。「公共工事は地域の支えがあってこそ実現できる事業。揖斐川町に貢献することを最優先にしてきた社風を伝承する」という気持ちは誰よりも強い。最近では、空き家を改修し、土地家屋調査士らが住民の空き家相談を受け付ける拠点も整備した。次の布石として計画するのは、歴史的な建物が残る三輪地区の再生プロジェクト。愛知工業大学とタッグを組み、街づくり、空き家活用を考えていく企画で、新たな観光資源となることが期待される。

「私の目標は、『ずっと住み続けたい街、揖斐川町』というイメージが定着するよう、当社がリーダー的な存在となり地域を引っ張っていくこと。時代の変遷による変化が起きても、決して変わることのない根幹は確実に存在する。今後も地域の方々に望まれ、求められる企業であり続けるよう、揖斐川町のプロフェッショナル集団として精進していきたい」と並々ならぬ気持ちを全面に出し、展望を述べた。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。