ICT事業部を創設の栗山工業。DX駆使で地域活性化を実現へ
更新日:2025/5/20
栗山工業(茨城県稲敷郡)は、2年前にICT事業部を創設した。所属員は、営業・総務を兼ねる社員と技術職を務める2名が担当。現在は、ICT施工時のデータ作成やレーザースキャナー測量を手掛けるなど、これまでにない動きを見せており、DXの促進により業務負荷の軽減を加速している。

栗山秀樹社長は、「会社が県南に所在することもあり、新規の道路や物流センターなど、建設需要には恵まれた地理的状況にあると考えていた。しかし、今後も地元で元請けとして更なる成長を目指すには、企業として何かしら付加価値がなければ生き残れないと熟慮しICT事業部の創立を決めた」と経緯を語る。今は道半ばの状況だが、社内外のハード・ソフト面の双方をサポートできるよう、早期に体制を強化する意向のようだ。社長就任から17年。新卒で入社した地場ゼネコンで社員のマネジメントには携わったが、経営面は未経験の状態で開始した。それ故に、特に「人」の部分で悩むことが多かったが、試行錯誤を繰り返しながらも、諦めずに継続したことで「10年を節目に、ようやく自分の色を出しながら組織を回せる感覚を持てた」と本音を話す。ICT事業部の立ち上げは、まさに栗山社長の特徴を表しており、将来的に部署がどのような変遷を見せるのか興味深い。

現在は、業務の分業化や職種に応じた完全リモートワークの導入も検討する日々を送る。「年々、人材確保の激化は進んでいるので、週3日の勤務も認めるなど、既存メンバーとのバランスも考慮しながらも、新たな策を模索していきたい」と柔軟な姿勢を見せる。創業者である父・武氏が創業した会社を「より良いものに変えていきたい」という思いは誰よりも強く、入職から一貫して「カッコ良い建設業を作りたい」と考え続けてきた。「建設業にマイナスなイメージを持つ人は多い。しかし、建設業は作った物が後世に残り、生活の一助にもなる魅力的な産業。一般の方には徐々にしか浸透できないと思うが、この部門でも諦めないスタンスを貫きたい」と熱い気持ちを全面に出す。

栗山工業は、今年9月14日に法人設立40周年を迎えた。物心が付いた頃に会社が生まれ、建設業に携わることを目標にし続けてきた栗山社長には、「地域活性化を成し遂げるには、地元の建設業者が団結して新たな可能性を追求することが重要」という確固たる意志を持つ。突破口と考えるのは、ICT施工を含めた業務のDX化。「次世代に引き継がれる最高のものづくりを提供していく」という基本理念の下、社会整備を提供できる「スペシャルコンストラクター」を目指すスタイルは変わらない。「1社で達成できる範囲は限られている。県内の建設企業が手を取り合うことで、先行きの不透明な時代を打破していきたい」と強い意志を示した。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。