採用強化のM・C・T。土日・祝日を完全休業にする準備に入る
更新日:2025/5/2
リフォーム工事業を手掛けるM・C・T(東京都板橋区)が、組織拡大に伴う社員の募集強化を実施することを発表した。コロナ禍である2020年4月の法人化以降、協力会社の力も借りながら実績を積み上げてきた。しかし、田口将章社長は「既に舞い込む案件に対して、人手が足らない状況が出始めたので、今回の方針を固めた。先を見据えると自社の職人を増加し、早期に育成する仕組みを構築できなければ手遅れになると判断した」と本音を語る。

田口社長は前職、ロボットの技術開発などを手掛けていた異色の経歴を持つ。どの分野で起業するか自問自答した結果、10代の頃に建築現場でアルバイトとして働いた時の充実感が深く刻まれていたこと。また、顧客を度外視した安価かつ質の低い施工が蔓延する現状を打破したいと「建築・リフォーム業で生き抜くことを誓った」と振り返る。業界経験のない状態からの創業だったため、建設業の経営などのノウハウは何も持ち合わせていなかった。しかし、「今はメディアが発達しているので、積極的にネットやSNSを駆使すれば、何でも調べられるはず」と、懇意になったハウスメーカーのサポートも受けながら、様々な経験・技術を習得していったという。


ゼロからでも社員を多能工に育成できるよう、昨年には研修場として自社物件を購入。「現場でなくても、いつでも細かな施工技術を教えられる環境を整備できた」と話す通り、既に未経験から入社した女性職人が全ての現場を統括するなど、着実な成果を上げている。田口社長は「当たり前のことを、当たり前に行う」を前提に日々の業務を手掛けており、自身の掲げる「価格の駆け引きをしない相談型のプランニング」が、今後入社する社員にどのように浸透していくか注目である。

現在、在宅勤務を快適にするためのリフォーム工事が好調な現実を踏まえ、田口社長は「来年4月からは、土日・祝日を完全休業日にする準備に入る」と表明した。理由は「お客さまに『本音を言えば、土日はゆっくり休みたかった』と言われるケースが多かったから。この問題は、在宅リフォーム分野を成長させ、社員の勤務日を平日に集約すれば解決できると考えた」と率直に述べる。今回の採用強化もそれを見越した対応となっており、田口社長は「来年度中に10人の増員を目指す」と明言。近年では、メーカーからの直接依頼も増えており、当面は社員の増加と同時に行う早期の「会社の組織化」が、M・C・Tにとって重要なテーマになりそうだ。


「今後も『社員の私生活がより充実するよう、職場環境の継続的な改善』を念頭に組織運営を手掛けていく。当社には、多能工だからこそ経験できる建設業の醍醐味が溢れており、情熱次第では若手でも飛躍的な成長を遂げられる場がある。課題はその都度修正するスタンスを保ちながらも、この1年間は採用強化と若手育成を全うしていきたい」。
会社のInstagram= https://www.instagram.com/reformshop_mct/
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。