転換期を一致団結で乗り切る 静岡県造園緑化協会
更新日:2025/5/20
今年5月に開催した静岡県造園緑化協会の通常総会にて、江間種苗園(静岡県浜松市)の江間正章社長が会長に就任した。協会が設立した1966年に初代会長を務めたのは、祖父である江間武雄氏。江間社長は、天命が巡るようなタイミングでの会長就任を受け入れ、「時代の転換期に当たる現在、様々な修正すべき点が存在することは事実。常に東部・中部・西部の副会長と連携することも意識し、新たな取り組みも開始したい」と意気込みを語る。

具体的に変革すべき点を江間会長は、「収益を目的としない『公益社団法人』という枠組みが、時代にマッチしているかの協議から始めたい。このカテゴリーで活動するには、メリット・デメリットの双方が内在している。各支部の理事とも様々な意見をすり合わせることで、協会としての強みを再度洗い出し、現在と同じ形で存続するかを決めていきたい」と見立てを話す。想定する施策は、短期でまとまる規模の話ではなく、江間会長は長期に及ぶ見通しを立てる。「これを完遂した時の会長が仮に私でなくても、確固たる方向性を指し示せるよう全力を尽くす」と並々ならぬ意欲を見せる。協会では、緑の相談所やイベントでの花苗の配布など、市民の声を直接聞ける長所を活かした活動も通じたヒアリングも心掛けているようだ。
マクロな施策を打つ反面、江間会長は直近で注力すべき点を「会員企業数を維持すること」に設定。特にこの数年で、会員企業の世代交代が進み、代表者の多くが若返りを見せている特徴があるという。「若手の会員が増えたことで、新たな取り組みに関するアイデア・情報が協会内でも出せるよう変わってきた。若い経営者の意見を尊重し、会費の負担を減少させるなど、スピーディーな対応を心掛けたい」と意向を語る。先行きの不透明な時代に突入しているが、江間会長は「この難局を乗り切れば、新たな可能性が見出せると信じている。当面は、誰が役員を務めても組織が円滑に進むよう内部の合理化を進めていく」と明確なビジョンを示す。最優先事項は、「『会員が静岡県造園緑化協会に所属して良かった』と心底実感できるように変わること」。江間会長の思いがどのような形で花開くか注目である。

「建設業界は慣習を重視する体質が今なお残る部分もあるが、最低限のルールさえ守れば、自由な発想で新境地を切り拓ける醍醐味もある。近々では知事も変わり、今は何となくだが県内には、新しい領域に挑戦する雰囲気で溢れている。静岡県造園緑化協会では、この状況をチャンスと捉え、引き続き会員が一致団結した活動を心掛けていきたい」と先を見据えている。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。