宮村鉄筋工業が「ものづくりは人づくり」を追求へ
更新日:2025/11/27
昨年4月、宮村鉄筋工業(福岡県大牟田市)の代表取締役社長に宮村良太氏が就任した。5年間の正栄工業(大阪府枚方市)での修行後に参画した家業。創業者かつ父でもある宮村博良会長の経営理念である「職人ファースト」を踏襲する形で就いた重責に「1年半近く経つ今も四苦八苦する状況にあるが、会社をより良い方向に変えられるよう改善を繰り返していきたい」と意気込みを語る。現在は94人の社員と130人の専属協力業者と一緒に、理想の職場に向けた最善策を模索している。


宮村社長は、着任前から「会社のトップとして経営に携わるならば、自分のやりやすい状態に変える必要がある」と強く誓っていた。先代の時は、社長と副社長の裁量で会社の全てを回せてはいた。しかし、「これからの時代に会社を運営していくには、社内の組織化が不可欠」と現場で苦楽を共にした4人の社員を役員に昇格。「自分の方針を通すことは、最適にもなり得るが、最悪に陥る可能性すらある」と胸に刻み、日々の業務に全力を尽くしている。


真っ先に取り掛かったのは、完全週休二日制や福利厚生の充実などを加速し、若者から魅力的と思われる職場に変革すること。最も稼働していたメンバーを出世させた為、現場が一時的に弱体化した時期もあったが、「これも経験。一度は失敗しても構わないから、誰が抜けても社員同士で補完し合える体制を作ろう」と辛抱強く継続。その結果、現在の確固たる社内体制の定着を実現させられたという。熱中症対策として、社内の自動販売機にCCUS(建設キャリアアップシステム)カードを2人でタッチすると、「社長の奢り」として1日1回、無料でジュースが飲めるという取り組みも特に若手から好評で、宮村社長の当初からの狙いであった「休憩時間に社員同士がコミュニケーション活性化を図ること」にも役立っているようだ。

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宮村社長が常日頃から考え続けているのは、「若手入職者が増える業界として、更なる進化を遂げること」と改めて強調する。この課題を克服する為には、各企業単位で出来ることに限界があり、「やはり団体・組合が団結した動きを見せるしかないと再認識した」と自身の見立てを述べる。偶然にも父親である宮村会長は現在、福岡県鉄筋事業協同組合と九州鉄筋工事業団体連合会、建設産業専門団体九州地区連合会の代表を務めており、「これは業界の底上げを手掛ける絶好のチャンス」と目論む。会社一体で自由な発想と確かな技術力を発揮する宮村鉄筋工業。「ものづくりは人づくり」という発想を基に、時代・社会と連動した挑戦は続いていく。


この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。








