中山重建が「イケてる」を軸に可能性を見出す
更新日:2025/4/25
土木工事を軸に各種建設工事を請負う中山重建(神戸市長田区)の中山智暉専務は、次期社長候補として同社で修行を積む日々を送っている。建設業に飛び込んで以降の仕事の捉え方を「どうせやるなら、イケてる仕事をしよう」と定義。「始まりがカッコ悪くてもネガティブでも構わない。早く帰りたいならば、手直しのない丁寧な仕事を。楽をしたいなら頭を使い段取り良く仕事を」との思いを表明以降、様々な反響が巻き起こり今までない流れを社内外に生み出している。

大学在学中には、健康に対する興味から管理栄養士の資格を取得。卒業後は、ファッション好きが高じてオリジナル衣服や雑貨を販売するBEAMSに入り、販売だけに留まらない万能型として勤務。社会人になり、好きな分野で無我夢中に仕事ができる喜びも感じてはいた。しかし、常に頭の片隅には「もっと楽しい仕事もあるのでは?」というジレンマが離れず、様々な方向性を模索する最中、父から新規事業の管理に誘われ「不思議と心が踊り入社を即決した」と振り返る。学生時代を考えると入社など想像も出来なかった。ただ、思い返すと「幼少期から父を見ていて、いつも楽しそうに現場に行く姿が印象深かった」と当時を語る。中山専務は、このような思い出からも後押される形で「中山重建」への参画を決意したようだ。


現在は、「文字通り何でも屋として勉強中の身のため、大それたことは言えない立場だが、将来に跡を継ぐ身として、1日でも早く会社を引っ張っていけるような存在に成長したい」と明確なビジョンを持つ。社内では事務全般や広報、採用、営業など全てを任されており、繁忙期は現場にも出向いて汗を流す。入社して4年。今思うのは「お客さまからお金を頂く以上、喜ばれるのは当然のこと。それを大前提とした上で、お施主さまの要望に応えることで生まれる副産物、つまり監督や職人と一緒に1つの商品を作り上げ、笑顔で業務を終えることを大切にしたい」と明言する。これを実現するには「良い職人が現場で手を動かして、高品質な成果物を作り続けることが何よりも大事」と思いを述べる。まだまだ、修行の身だからと前置きをした上でも、「もっと良くなる伸び代が自社にはある。1ミリでも改善できるよう努めていく」と密かな決意を打ち明ける姿も印象的である。

「建設現場は、職人が存在しなければ成り立たないもの。当社では、今以上に働きやすい職場を提供できるよう試行錯誤を繰り返していきたい」と熱い気持ちを語る。異業種から入職したからこそ、変えるべき点は見えている。29歳の中山専務が考える「イケてる」に期待し、今後もその過程にこそ注目していきたい。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。