奈良県建設業協会が「新3K」定着に向けた取り組みを開始
更新日:2025/4/25
奈良県建設業協会(山辺元康会長)は、これまで奈良県と連携を取ることで、県内の建設業界を盛り立ててきた。近年では、SNSでの動画制作や配信の実施など、新たな取り組みにも着手。奈良県が制作し青年部会等が協力するYouTube動画のチャンネル名は「奈良県建設産業PRチャンネル」と命名されており、「若手現場監督の1日に密着」や「けんせつ教室に潜入!」など、独自の切り口で迫る動画として人気を博している。また協会は、合同企業説明会を県の建設業就職フェアと同時開催するなど、建設業の特徴・魅力などポジティブな内容を若者向けに発信することを心掛けている。

昨年、会長に就任した山辺元康氏は、「建設業界を活性化するには、若手入職者の増加が必要不可欠という考えを基に日々の活動を手掛けている。建設業の魅力が若い方に更に浸透できるよう、あらゆる策を試みていきたい」と意気込みを語る。協会内では、入札制度の変更点なども即座に共有し、問題点を確認し合う体制も整備している。会員企業の経営が少しでも安定できるよう工夫されている点も協会の特徴である。
山辺会長は、協会の使命を「地域の守り手として、災害前にインフラを復旧すること」と断言する。特に奈良県では同じ建設業であっても、南北の地域で取り掛かる仕事内容に相違があり、人口が少ない南部では、少量の降雨でも山間部では土砂崩れが起こり、通行止めになることが多い。今年度に入ってからも大規模災害でないにも関わらず、奈良県と協会が結ぶ防災協定による活動要請を7度発動(令和6年8月末現在)していることからも、「これまで県民の安全・安心を支えてきた国道・県道など、インフラの整備・修繕が遅れていることは明白。協会としては常に県には要望を出しているが、万が一の事態が起こる前に対策に入れるよう最善を尽くしたい」と気持ちを全面に出す。山辺会長は昨年度、全国建設業協会の副会長も兼務していた為、奈良県のみに集中することが出来なかった。喫緊の課題も増える中、「今年度からは、これまで培った経験の全てを奈良県のために注ぎ込む」と並々ならぬ意欲を見せている。

「今後も建設業の魅力を積極的に発信することで、県内の入職者を1人でも増やせる施策を打っていく。具体的には、DXも駆使して『建設業は意義深いもので、形として地図にも残る尊いもの』と理解して頂けるよう、紹介の仕方にも工夫を凝らす」と展望を語る。これまで国土の安全・安心を保ってきたのは、間違いなく建設業。奈良県建設業協会としても、早期に「新3K=『給料が良い』『休暇が取れる』『希望が持てる』」が定着できるよう活動を活発化し、「この危機的状況からの脱却を進める」と覚悟を示す。来年5月に会長として1期目の任期を終わる。しかし既に山辺会長は、その更に先を見据えているようにも感じられる。県内には克服すべき点も多く存在しているが、奈良県や青年部との連携強化も視野に入れた協会の今後の活動に注目である。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。