逆境からの経験を武器に、西森電気が未来を拓く
更新日:2026/1/5
西森電気(富山県高岡市)の西森祐一社長には、社長交代直後に1.5億円の債務超過に陥り、その後に会社を立て直した過去がある。「当時は倒産を覚悟した」と語るように、経営者としての第一歩目をまさかの崖っぷちからスタートした。真っ先に無謀な返済計画の見直しを図り、銀行に月々の返済額の減額を交渉。「まずは利息だけでも返させてほしい」と事業計画を練り直し、その熱意で地元の高岡信用金庫からの支援を取り付けた。

40歳の社長就任直後に巻き起こった災難。「とにかく社員の生活を守りたい、その一心だった」と原動力を振り返ると同時に、会社再建と給与体系の抜本的な改革にも着手した。社員が家族を養い、安心して生活できる給与ラインを正確に設定するため、本を片手に独学で給与システムを構築した。将来のビジョンを社員全員が想像できる組織に変わるため、「社員が心地良く働ける職場」になるよう注力。理不尽な要求や支払いが滞る取引先との関係を解消する決断を下した。一連の過程で生まれた余白のリソースを新規開拓に当てられたことで、優良な新たな顧客との関係を築き上げることができたという。このような粘り強い改善・改良が実を結び、長い債務超過のトンネルを2016年に脱出。近年では年間6.7ヶ月分という高水準の賞与を支給するまでに経営を軌道修正できた軌跡を「全ては周囲の方々からの助けがあったからこそ達成できたこと。従業員に利益を正当に還元する仕組みができて安心している」と晴れやかな表情を見せている。

西森電気は、脱炭素社会に向けて再生可能エネルギーを主力電源化する動きを活発化させている。海外資本の企業も参入する中、内需拡大を志した経営スタイルを堅持。「海外メーカー製品を使えば、日本の富が海外に流れるだけ。日本のメーカーを育て、国内の経済を回すことに貢献したい」との考えを示す。同社が手掛ける太陽光の施工においては、国内メーカーのパネルのみを採用している。脱炭素社会を迎えるには「様々なエネルギーをバランス良く組み合わせることが重要だ」と訴え、最近ではエネルギーの地産地消を謳う「セントラルウインドアカデミー」にも加盟。単一のエネルギーに執着しない環境の実現を後押ししている。

西森社長に今後の目標について聞くと、「65歳で事業承継したい」と明確なビジョンを提示する。残された時間は約7年。後継者である息子が経営者として独り立ちできるよう、現場管理から営業、人脈作りまで自らの知見を伝承することに全力を注ぐ覚悟を見せている。「私の仕事は社員が働きやすい仕組みを作ること」。多額の負債を抱えた逆境から会社を健全化させた経験は貴重で、この経験を組織としてどのように活かしていけるか注目である。経営者としての視線は、常に社員とその家族に向けられている。西森電気がこれからどのような未来を描いていくのか。その歩みから目が離せない。
関連記事:『セントラルウインドアカデミー』
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。








