不易流行をテーマに、落合組が成長と進化を見極める
更新日:2026/3/12
落合組(静岡県菊川市)は、数年前に事業構成の転換に舵を切った。大きく変えた分野は民間建築工事の部門。堅調に利益を維持しながらも、着実な会社の規模拡大を続けられている。落合大泰取締役は、「財政動向や人口減少など、外的要因に左右されやすい体制への危機感があった」と背景を語る。これまでは国交省管轄1級河川菊川水系や県、菊川市などの公共工事に重きを置いてきた。しかし、民間工事の売上構成を6割程度に押し上げられたことで、「現実に応じた企業体質への変革」に向け、手応えを感じている。


落合取締役には、専門商社でキャリアを積み重ねた経験があり、当初は家業を継ぐ意志は無かった。しかし、家庭の事情で帰郷を決意し、フラットな心境で落合組を俯瞰すると「80年以上の歴史と蓄積した技術だけでなく、経営面でも伸び代の余地が多いと確信した」と振り返る。自然災害の多い日本において、最前線で復旧・復興を支える建設業が「菊川市の守り手」であり続けることに「明確な誇りを持てた」と経緯を話す。受注体制や価格競争の他、自社のブランドを社会に適応させる必要があるなど課題は多い。しかし、そのような状況下でも経営の主軸に「不易流行」を掲げ、「必ずやり遂げる」という確固たる意志を基に、落合取締役は果敢に挑戦することを決めた。



真っ先に着手したのが、「ブランディングと採用」。建設業の社会的認知度の低さをテーマに、SNSを介して災害時の役割・仕事の意義深さなどを積極的に発信。地域イベントへの参画やスポーツチームに対する協賛、異業種と連携した採用セミナーに登壇するなど、建設業の枠を超えた取り組みを続けたことで、「建設業は閉鎖的で怖い」というイメージからの脱却を進めている。採用面では、学歴不問と能力主義に重きを置くスタンスを堅持。中途採用に的を絞れたことで、金融業界や製造業など、多様なバックグラウンドを持つ人材の獲得に成功したという。「社内改革を進めたことで、『地域社会の未来を創る』とシンプルな動機で当社を選ぶ社員や、『結果を残せば好待遇も叶えられる』と頼もしい理由で入社を希望する社員が増えるなど、様々なタイプの若手を迎え入れることができた。引き続き、個性溢れる人々を採ることで、組織全体の活性化を手掛けたい」と意気込みを見せる。


落合取締役の視線は、既に次の成長フェーズを向いている。直近ではAIやBIM/CIM、クラウド管理などを取り入れることで、DXを加速化する方針を固めている。目指す先は「工事に依存しない新たな収益源を見つけること」。IT企業とも協業することで、自社プロダクトの開発も模索するなど、あらゆる可能性を追求している。落合取締役は2026年7月、新社長として新たな一歩を踏み出す。スタートを切るに当たり、焦点に定めているのは、更なる成長と進化を続けながら「創業100周年を迎えること」。変わるべきものと変えてはならないものを見極めながら、今後も落合組は大胆かつ冷静な試みを続けていく。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








