広報部隊として地元に建設業の魅力をPR 大分県建設業協会・青年部会
更新日:2025/5/2
大分県建設業協会・青年部会は、国土交通省大分河川国道事務所と大分県土木建築部と共同で、10月26日に「土木建築フェスタ」を開催した。同イベントは、建設業に触れる機会を創出することで、県民に産業の重要性を周知し、担い手確保に繋げることを目的にしている。4回目の開催となった今年は、小中学生やその保護者を含めた約2900人が来場。多くの親子連れが、災害対策車両の試乗やショベルカーの操作などを体験し、建設業を身近に感じるきっかけ作りとなった。


土木建築フェスタは、柴田康輔氏(柴田建設・代表取締役)が青年部会長に就任直後、周囲から「地域で育った子供たちが、地元に残る具体策を進めてほしい」との依頼を受け進めて企画だった。初年度は各団体の団結により何とか開催に至ったが、来場者数は2日間で800人程度。2年目は前年度の反省点を活かし、重機・ダムの模型などを展示する方式を取り入れた。「3年目から教育委員会なども巻き込み、チラシ・ポスター・パンフレットを制作・配布するなど改善・改良を繰り返し、今年の盛況に辿り着くことができた」と今までの経緯を振り返る。「県外への人材の流出を防ぐため、斬新なアイデアに挑戦しよう」と、熊本県にあるコマツIoTセンターの視察に行くなど、独自の研修会も実施。また、中津支部では、地元から都心部に出たが、Uターンを希望する若者を迎え入れる体制を整備するなど、各支部でも様々な人材確保策に取り組んでいる。



「大分県内でも、人・仕事の双方が都市部に集中する傾向はある」と懸念点を指摘しながらも、柴田青年部会長は、「DXの積極的な導入を進めることで、この難局を乗り切らなければならない」と意欲を見せる。働き方改革に対応するため、正式に協会全体でも「月給制度と週休2日の徹底」に関する指示が出るなど、これまでにない展開も見せている。最近では協力会社が集まらなかった為に、入札に参加できない元請け企業も増えてきた。「これまで慣習として続けてきた事柄が通用しないケースも多い。現在地が過渡期と捉え、どのような時代に突入しても対処できるよう、青年部層からも積極的な意見を上げていきたい」と見つめる視線は常に前を向いている。



青年部会を「大分県建設業協会の魅力を発信する広報部隊」と明確に定義する柴田青年部会長の目標は、「5~10年先を見据え、地元の子供たちが地域に残る役割を担うこと」。現在は、県の教育委員会に「建設系学科・クラス数を増設してほしい」と依頼することも検討する。青年部会長として3期目を迎えている状況だが、次のバトンを渡すことを考える時間も増えてきた。「時代がいかなる変遷を見せても、インフラの維持・管理は必要不可欠なもの。地域の安全・安心を守るためにも、青年部会長として大分の建設業を盛り立て、継続的な繁栄が実現できるよう、全力を尽くす」と強い覚悟を示した。

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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。