「10年後に社員50名」を目標に、小野創建工業が理想の会社づくりへ
更新日:2026/1/22
小野創建工業(千葉県船橋市)の小野正明社長は、高校卒業後に家業に入るも「左官業だけで生き残るのは至難の業だと痛感した」と本音を話す。その後、様々な経験を積むことに専念し、2010年に自らで小野創建工業を創業。元請け機能も兼ね備えた企業体制を敷き、確かな経験と技術を長所にした経営を手掛けている。所属する日本左官業組合連合会・青年部では、副部長としても精力的な活動を実施。海外視察を通じて技能教育や建材の潮流を吸収し、事業の可能性を広げる取り組みを続けている。


近年最も注力する分野を「採用体制の再構築だ」と即答する。深刻な人手不足が続く中、約10年前には外国人採用に踏み切った。当初は慎重な姿勢だったが、「日本人が全く採用できないならば、別の計画的な手段を持つべき」と考えを改めた。ベトナムの送り出し機関を訪れた際には、若者の勤勉な姿勢、日本で働きたいという真っすぐな情熱に触れ、「彼らになら未来を託せると確信した」と率直に話す。積み重ねた修練を自らの知見に変えられたことで、今では会社の欠かせない存在として確立。安定した事業基盤を支える貴重な柱としての役割を果たしている。


外国人採用を軌道に乗せられたことを契機に、小野社長は「近年では国内採用にも戦略的に取り掛かれるようになった」と実感を込める。大学進学率の上昇に伴い高卒採用が難航する中、獲得する社員層を大卒のラインまで拡張。小野社長自ら非常勤講師として大学に赴き、動画や写真を用いて左官の奥深さを伝えている。2年生を対象にした40日間のインターンシップでは、家具への左官施工をデザインから仕上げまで体験できる独自のプログラムを用意。受講者からの満足度は常に高く、来春2名の入社が決定するなど、実際の入社にも繋がる機会となっている。

社内の新人研修は小野社長が直々に担当しているが、「入社1か月後には現場に送り出すことにしている」と方針を示す。OJTを基本としつつ、個々の性格・理解度に合わせ柔軟に指導方法を変える特徴が好評である。「褒めて伸ばすか、あえて厳しさを与えるべきか。相手の特性を見極めて応対することが経営者の役割」と語る姿からは、次の世代に技術を継承しなければという強い覚悟が滲み出る。土日・祝日の休み、働き方改革への対応、給与改善などの職場環境の整備も着実に進めており、「幸いにも高い社員定着率を誇っている」と胸を張る表情からは、確かな自信が見て取れる。

小野社長は、今後の目標の1つとして「10年後に社員50名にすること」を掲げる。これまで必要以上の規模拡大を自社に課した結果、品質を落としていった企業を数多く見てきた。この点を留意した上での「技術と信頼を礎にした成長を志向したい」と明確なスタンスを提示する。社員の活躍は現在、女性職人の活躍も広がりを見せ始め、多様な働き方と高度な技能の両立は実現しつつある。小野社長が目指す未来は「全社員から『小野創建工業に入って良かった』と体感してもらえる組織になること」。この言葉には同社が創業から歩んできた15年間の軌跡が刻まれており、将来に向けた強い意志が凝縮されている。
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。








