新卒主義の大竹組。若手支援の継続で次のステージを視野に
更新日:2025/4/26
大竹組(徳島県海部郡牟岐町)の社員採用では、新卒主義を徹底している。経験者の募集に目を向けない理由を、喜井義典専務は「あくまで当社規模の組織に当てはまるだけのはずだが~」と前置きした上で、「変な考えを持った社員が入り、社内の調和が乱れることが嫌だから」と本音を話す。毎年、県内の工業高校の出前授業に参加することで、学校側とは強固な信頼関係を作り、定期的な新卒入社に繋げるサイクルを構築できた。現在の社員数は40人。リリース初期からCADやICT施工などを積極的に導入するなど、社員の平均年齢を41歳まで若返らせることに成功している。大竹組(徳島県海部郡牟岐町)の社員採用では、新卒主義を徹底している。経験者の募集に目を向けない理由を、喜井義典専務は「あくまで当社規模の組織に当てはまるだけのはずだが~」と前置きした上で、「変な考えを持った社員が入り、社内の調和が乱れることが嫌だから」と本音を話す。毎年、県内の工業高校の出前授業に参加することで、学校側とは強固な信頼関係を作り、定期的な新卒入社に繋げるサイクルを構築できた。現在の社員数は40人。リリース初期からCADやICT施工などを積極的に導入するなど、社員の平均年齢を41歳まで若返らせることに成功している。

土木工事・元請けの業務が100%を占める大竹組では、全ての施工を自社の社員が当たっており、協力会社に依頼する形を取っていない。民主党政権が誕生以降、数多くの仲間が倒産に追い込まれた中、「直営部隊を抱えていたことで、難局を凌ぎ切ることができた」と振り返る。i-Constructionにも早期に取り組み、開始から2年目の2016年度には、建設現場の生産性向上を図る優れた取り組みを表彰する「i-Construction大賞」を受賞。当時から「最先端に追いつくには、若手活躍の場が不可欠」と、常に職場環境の改善・改良を続けてきたことが、社員定着の鍵になっているようだ。



「社員が喜ぶことは何か?」を突き詰めた結果、喜井専務は「休日の保証と給料のアップ」と結論付けた。5年前に完全週休2日をルール化し、昨年4月からは祝日も休みにするなど、他社にはない柔軟性を発揮。資格取得に関しても、外部講習に出なくても、社員が合格のポイントをZOOMも駆使して後押しできるサポート体制を敷いている。「利益を出せている現段階だからこそ、対処すべき事柄は多い。当社では、若手の一級土木管理技士が少ないため、あらゆる手段を尽くして有資格者の増加を目指す」と支援継続の意思を示す。現在、会社が抱える課題は「経営陣を含めた世代交代が進んでいないこと」。喜井専務が「もちろんDXを使いこなす技術は重要な要素。しかし、全体の把握から細部の配慮までが必須になる経営者の育成を考えると、どうしても地道な経験を積む必要が出てくる。当社には複数の有望な若手が在籍している。早期に監督として利益を確保し、優良な工事成績が獲れる人材を育て上げたい」と並々ならぬ覚悟を見せている。


喜井専務は「現状維持をどれだけできるか。これが今後の先行きを決定付ける」と見立てる。「成長は不可欠だと自覚しているが、現在地という土台を死守しない限り、目先の発展は実現しない」と冷静な姿勢を堅持できる点が、社員からの厚い信頼に繋がっていると見て取れる。長年の歴史と経験を活かし、地方の社会基盤を整備することに全力を尽くす大竹組。会社一体となって次のステージを迎える準備が整った時、徳島県には斬新な可能性が生み出されているはずだ。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。