若手の飛躍を重視した職場環境を徹底へ 佐藤建設
更新日:2025/9/25
佐藤建設(岡山県勝田郡)の佐藤公泰社長は、2017年の社長就任直後に毎年の新卒採用を開始した。初年度の採用者数は12人。当時から財務部門が強かった特徴を活かし、展示会の出展やモデルハウスを増やすなど趣向を凝らしたことで、岡山県全体における住宅市場の拡大に成功。現在の社員数は120人近くに拡大しており、県内の街づくり・家づくりに邁進している。


直近の目標として掲げるのは、「現場監督のスキルを正当に評価できる体制を構築すること」。各監督のキャリアがその都度の案件規模に左右される現実を憂慮し、「『これが出来れば将来の見通しが立つ』という目安の設定を試みている」と近況を話す。一連の取り組みを志した直接的なきっかけは、「近年、スーパーゼネコンが採用対象を地元の工業高校にも広げ始めたこと」。この現状を勘案し、佐藤社長は「新卒をゼロからでも育てられる組織に変えるべき」と判断。「人間性」を最大限まで重視し、建設関係の学校を卒業していなくても、全ての社員が躍進できる会社を目指すことに決めた。


佐藤社長は現在、「『若手が成長できる場』として、大部分を1人の監督に任せられる案件の確保を意識している」と実感を込める。利益は少なくても構わない。長期的なサイクルになっても良い。新卒から入社した社員の自主性・向上心を伸ばし、早期に1人前になれる社内環境を考えた時、「若手には少し厳しくても登竜門となる舞台を用意し、『何かあれば必ずフォローする』という仕組みを提供した方が、社員のステップアップに直結すると再認識した」と本音を話す。「当社を信じて入社してくれた社員に希望を与えたい」。この一心で会社をより良い状態に変革していこうと、現在進行形でトライ&エラーを繰り返している。

会社全体を俯瞰した経営方針では、「公共・民間工事のどちらかに偏ることのない事業展開に努めていく」と明言する。理由は「どちらか一方に肩入れすると、現場・営業双方の面で滞りが生まれ、即座の応対が難しくなるから」と述べる。新卒採用を始めてから7年が経つが、常にバランスの取れた組織運営を心掛けており、「人と街に夢を」という経営理念への熱は年々高まっているという。社内には、住宅・建築・土木・不動産など、あらゆる状況に応じられる体制も整備されている。佐藤建設がどのような変容を見せていくのか。地域を最優先に紡ぐ今後の物語に興味が尽きない。


この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。