創立50周年を機に、成友興業が更なる躍進を決意
更新日:2025/9/8
成友興業(東京都あきる野市)が、今年3月に創立50周年を迎えた。先代である実父の急逝を受け、細沼順人氏が社長に就任したのは29歳の時。それまで不動産業の営業職に従事していたが、「『やるしかない!』という覚悟で飛び込み、振り返ればあっという間だった」と冷静に話す。当時は、砂利など建設資材の運搬が中心で、社員数は10人ほど。そのような状況から建設業ならびに環境事業を開始した。現在はグループ会社6社を抱えるほどの規模を誇り、グループ全体の社員数は500人に達するほどの飛躍を遂げている。


今年4月には20人を超える新卒社員が入社を果たした。現状では、建設事業の従業員の平均年齢は約30歳。新卒者の採用を始めたのは20年弱前。当時から人材確保が難しく、細沼社長が自ら採用の場に赴き、会社の理念・ビジョンを直接伝え続けたことが、組織の大幅な若返りとなり、現在の事業拡大に繋っている。自身では「社員=我が子」という視点に立った育成を一貫して実施し、若手社員との面談を重ねながら、不安や悩み、現場の声を丁寧に拾い上げている「彼らはまだ真っ白な状態で、何者にでもなれる可能性を秘めている。ゼロから変貌を遂げていく過程を確認できることは嬉しく、私はその背中を押す存在であり続けたい」と目を細める。2023年10月の株式上場後、会社全体がコーポレートガバナンス強化に注力する中でも、細沼社長が若手との交流を軽んじることはなく、「新卒社員には、仕事面だけでなく人間としての基礎を築いてほしい。一緒に夢を描き、実現できる機会を会社が提供し続けたい」と長期的な視点を基にした展望を語る。


成友興業では近年、全国で老朽化が進む上下水道などのインフラ補修対策にも意識を向けている。管路の破損や事故が相次ぐ中、「地域建設業として、社会に何が必要とされているかを見極めるべき」との危機感から、M&Aによる事業の多角化や地域拡大にも挑んでいる。若手育成は、「全て『次世代につなぐため』の布石」と銘打ち、その言葉に一切の迷いはない。本年創立50周年を迎え、パーパス「次世代のために、社会に資する。」を新たに策定した。地域社会に根差した総合建設企業としての役割は大きく、今後も「技術を磨き、人を育て、持続可能な都市の未来を支える存在として確立する」との信念は誰よりも強固だ。「50周年は節目ではなく、新たな出発点」。そう語る細沼社長の眼差しは真剣そのもので、更なる躍進に向けた決意が宿っている。


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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。