島田組が理想の職場環境を追求へ
更新日:2025/5/20
「変化が当たり前の体制を確立する―」
今年4月、島田組(新潟県南魚沼市)の新社長に島田奏大氏が就任した。「元々、新しいことに挑戦するのが好きな性格」と自負する島田社長は、文字通り就任前後から会社のロゴマークを変更するなどに奔走。企業理念である「SHIMADAビジョン」を策定した他、社屋の改修などにも取り掛かるなど、会社の体裁から基盤となるルール制定に至るまで、広範囲に渡る改革を進めている。

社長に就いてから、これまでの期間を島田社長は、「少し急ぎ過ぎた感覚もあるが、このような変革は全て周囲の支えがあってこそ実現したもの」と強調する。一人で成し遂げられる事柄などないという明確なスタンス。民間企業で働いた経験から、建設業界内に蔓延する業界特有のルールに違和感を持っており、当時から「自分が組織を運営する際は、従業員一人ひとりの能力を存分に発揮できる、より魅力的な環境を作りたい」と切望しながら業務に取り組み続けたという。高速道路を中心に技術者として現場で働く間も、会社の文化に馴染めず心身のバランスを崩す同僚も少なからず見てきた。建設業界の働きにくさを課題とし、理想の職場を自分で作りたいという強い思いを抱いたことをきっかけに、島田組を継ぐ決心をした。


「『建設業界=3K(きつい、汚い、危険)』と頻繁に評され、現場で働くことにネガティブなイメージが根付いたことで、若手の集まらない状況が長く続いている。しかし、本質的には、建設業は社会貢献性が高く、魅力的な産業だ。ポジティブな側面を積極的にPRすることで、地域社会にプラスな影響を与えられる要素がまだあるはず」と独自の見立てを語る。現在は「職場内にある不の解消プロジェクト」と銘打ち、これまで見過ごされてきた社内の問題や諦めてきた課題を洗い出し、従業員と共により良い職場環境を作り上げている最中だ。「社員が誇りを持ち、楽しく働ける場所に改善し続けることに全力を注いでいる。それぞれの個性を見出し、充実感を抱きながら働ける環境に変えることが直近の課題だ」と会社の理想像を追求する目は輝いており、どのような形で問題を解決していくかも注目だ。


島田社長は、「将来的には建設業という枠組みを超えて、『まちづくり』にも参画したい」目標を話す。「後継者不足や人口減少など、地域が抱える深刻な問題は依然として多い。しかし、建設業はこのような課題に積極的に取り組むことで、未来を良き方向に導くことができる素晴らしい職種。人を集め、育て、活躍できる場を提供することを使命として、今後も精進を続けていく」との意志が揺らぐ余地は無さそうだ。「人とまちの幸せを創造する」というビジョンを基にする島田組は、今後も地域と企業、両者の着実な発展を手掛けていくはずだ。


この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。