生き残りをDXに賭ける。シミズローディックが模索する「最適解」
更新日:2025/5/2
シミズローディック(東京都足立区)の清水優副社長には、前職が料理人という特異な経歴がある。料理長時代は、会社から全面的な店舗運営も任され、無駄削減や新たな施策を打ち出して、組織内の利益率改善を実現した経験も合わせ持つ。そのような中、父親が創業したシミズローディックでは、徹底した現場主義により、担当した工事が蓋を開けると赤字と発覚するケースが頻発。清水副社長は「この負の連鎖を止めるには、私の経験を活かすしかない」という強い信念を胸に入社を果たした。

これまで赤字覚悟でも参加していた公共工事は多かった。しかし、清水副社長の参画後は、赤字が見込まれる場合は一切の取り止めを決断。社内からの「これは慣習だから参加すべき」という反論には、正確な経理処理の徹底から試算表を作り込み、必要な粗利の明示化を堅持。「なぜ不要か、請け負った場合はどのようなリスクがあるか」など論理的な解説を続けた結果、「徐々にだが社内にも粗利確保の重要性と、それに向けた行動が浸透した」と振り返る。今年4月からは、土工におけるICT活用工事も開始。8月に完成した案件では、ICT活用工事における5つのステップにある「3次元起工測量」、「3次元設計データ作成」、「3次元出来形管理等の施工管理」、「3次元データの納品」の4つの基準を満たし、評点獲得にも繋げられたという。



中小企業として、採算を度外視してでも取り組みを始めた理由を「現場監督の負担を軽減できると確信したから」と即答。「コストが掛かっても社員の余裕を生めれば、他の仕事に注力する時間を作れる。まだ手探りの状況だが、新たな突破口を見出すための敢えての先行投資と捉えている」と本音を力強く話す。数年前まで60時間を超えていた残業時間も、社内DXの定着により15時間程度まで削減することができた。現状で清水副社長自身は、DXサービスの調査・選定から、社内に浸透するまでのフォローなど、膨大な業務量を1人で背負っている。しかし、「これは、中小建設企業の生き残りに不可欠な痛み。1日でも早く当社にとっての最適解を見つけ出し、体制化を進められるよう全力を尽くす」と並々ならぬ覚悟を見せる。「社員の負荷を極限まで減らすことが経営陣の役割」と言い切り、その環境を整えるため、文字通り寝食を忘れながら打開策を探す。社員から厚い信頼が寄せられる要因は、このような徹底したスタンスにあるようだ。


中小企業として、採算を度外視してでも取り組みを始めた理由を「現場監督の負担を軽減できると確信したから」と即答。「コストが掛かっても社員の余裕を生めれば、他の仕事に注力する時間を作れる。まだ手探りの状況だが、新たな突破口を見出すための敢えての先行投資と捉えている」と本音を力強く話す。数年前まで60時間を超えていた残業時間も、社内DXの定着により15時間程度まで削減することができた。現状で清水副社長自身は、DXサービスの調査・選定から、社内に浸透するまでのフォローなど、膨大な業務量を1人で背負っている。しかし、「これは、中小建設企業の生き残りに不可欠な痛み。1日でも早く当社にとっての最適解を見つけ出し、体制化を進められるよう全力を尽くす」と並々ならぬ覚悟を見せる。「社員の負荷を極限まで減らすことが経営陣の役割」と言い切り、その環境を整えるため、文字通り寝食を忘れながら打開策を探す。社員から厚い信頼が寄せられる要因は、このような徹底したスタンスにあるようだ。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。