「品質で選ばれる施工」を定着へ。シンユーが新たな挑戦を開始
更新日:2025/5/2
防水・塗装・外壁改修の専門工事会社であるシンユー(東京都中野区)が、公共工事入札への参加を開始した。これまで民間での施工や協力会社としての役割を担うことが多かったが、清水文平社長が1級建築施工管理技士と一級防水施工技能士の資格を取得したこと。また元請けとしての依頼が増えている現実を、「今までとは違う挑戦を始める時と考えた」と決断の経緯を話す。これまで積み重ねてきたシンユーの信頼と実績に、新たな選択肢が加わることになった。

清水社長は、10代の頃から建設業界で15数年以上に渡って数多くの現場を経験。2015年6月に「シンユー」を創業した。経営理念を「信義誠実の原則に基づき行動する」と銘打つ通り、自社では、月給制の給与体系・社会保険の完備、昇給条件の開示などを徹底する。創業直後は、「最近、押し売りしてくるインチキなリフォーム業者が多い。そのタイプだろう」などと言われたこともあった。しかし、「堅実かつ安全な技術施工と明朗会計を辛抱強く続けていると、不思議と当社に対してそのような風当たりはなくなっていった」と転換点を回想する。「大企業と違って新しい会社は、新規開拓の際に疑念の目を向けられる宿命にあるが、当社は責任ある正確な施工と適正価格の提示という、真っ当な事業展開で局面を打開していく」と力強い意志を示す。地道かつ着実に行動を蓄積し、結果を残し続けることで会社としての説得力を獲得する。決して近道ではなかったが、シンユーの突破口が今開こうとしている。


「建設業界に所属して以降、心の中に常にあるテーマは『相手を裏切らない』だ。ここ数年で採算度外視を前提として、仕事を請け負う専門工事会社が増え続けている現状があり、そのような状況を受け入れていると、必然的に手抜き工事になる。今後も業界に『価格だけでなく、品質でこそ選ばれる施工』という概念が更に定着するよう、全力で取り組んでいく」と意気込みを語った。「理不尽」を嫌い、取材に応対する姿勢からは、「誠実」「信頼を裏切らない」という心象が溢れ出ていた。筆者は、清水社長が率いるシンユーのようなスタンスに共鳴する企業が、少しでも多く現れることを切に願っている。

この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。