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マハールがあいちサービス大賞を受賞。真和建装が「共に育つ」経営で事業拡大

更新日:2025/6/5

塗装・防水工事を手掛ける真和建装(愛知県岡崎市)の提供するシート建材「マハール」が、第5回 あいちサービス大賞「特別賞」を受賞した。マハールは、天然石・天然木の風合い・質感を再現し、建物に貼り付けることのできる内外装仕上げ建材。木目調やケンチ石調、インド砂岩調など6種類・全51色ほどのバリエーションを備え、設計士の思い描く内外装を表現することが可能である。先進的なサービスを展開し、愛知県内の生産性向上を実現した点などが評価された。

杉浦晴英社長は「マハール事業は、父親である杉浦昭男が建築塗装の将来を見据え、1989年に製造から販売、施工までの一貫体制を構築した。開始当初は苦戦したと聞いているが、素材が軽く安全かつ耐久性に優れている特徴もあり、徐々に浸透していった歴史がある」と振り返る。父の意思を受け継ぐ形で、杉浦社長は2018年に自社工場の増設を決意。切断機と吹き付け機を追加し、量産体制を整えた。また大手建設会社や設計事務所との取引を増やしたこともあり、昨年度に記録したマハール事業の売り上げは、5年前の倍以上を達成したという。

会社の経営理念を「共に育つ」と銘打っている通り、杉浦社長は社会や地域、社員との共生を念頭に、理想を追求する方針を重視する。特に「人」に対しては、「替えの利かない財産」と捉え、「社員が辞めていく会社は、組織として末期症状の第1歩」と断言。「経営者が真っ先に取り掛かるべき業務は、社員の定着率を上げること。社員は想像以上にトップの言動を注視し、冷静な判断を行う。組織としての原則や方針が合わない場合は難しいケースもあるが、各々の社員が何を求めて働いているかを見極め、常に対話を心掛けながら対応している」と基本姿勢を話す。実際に社員からの要望を受け入れる形で、自社ホームページを1ヶ月・60件程度の問い合わせが来る体制に刷新したこともある。会社全体の舵取りを担いながらも、細部に気を配り、出来る範囲で多くを叶えようと努力する。杉浦社長の絶妙なバランス感覚が、圧倒的に低い退職率の秘訣のようだ。

杉浦社長は「これまで通り地道に塗装・防水工事を続けながらも、改修物件の施工時には当社のマハールが常に顧客の選択肢に入るよう、知名度向上と営業強化を継続していく方針だ。人材育成・採用が急務な点など、まだ社内にも課題は多く残っている。しかし、現在の関東・中部・関西中心の活動エリアを少しでも拡大できるよう、会社一体となった事業展開を果たしていきたい」と展望を述べた。

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