「純国産の確かな技術」。スカイマティクスが業界の行動変容に挑戦
更新日:2025/5/20
スカイマティクス(東京都中央区)が、日建リース工業(同千代田区)・レンタコム北海道(札幌市中央区)の2社と販売代理店契約を結んだ。全国各地の特性や需要を正確に理解する企業との連携により、スカイマティクスが提供するクラウド型ドローン測量ツール「くみき」の更なる浸透を手掛けていく。

くみきは、汎用的なドローンで撮影した画像をクラウド上にアップロードするのみで、短時間でオルソ画像やDSM、3次元点群データなどを自動で作成できるドローン測量サービス。今年1月には「創業第2ステージ」と銘打ち、現場の写真・資料データを地図上で管理・共有できるよう大幅リニューアルを実施した。


渡邉善太郎社長が起業時より掲げてきた理念は、「世の中をテクノロジーで変えていく」という揺るぎないもの。社内のみで画像処理解析やGIS(地理空間情報システム)を作れる強みを、利用企業の多くは「『真の純国産』に裏付けられた確かな技術力がある」と口を揃える。実際にドローンによる空撮写真から、3次元点群データを自動作成するクラウド型のドローン測量サービスにおいて、3次元復元処理を行う『SfM処理技術(ストラクチャー・フロム・モーション)』を、自社で要素開発する国内企業はスカイマティクスのみ。常日頃から「処理エンジンからアプリケーションまで全て自社開発することで、建設DXという形ではなく、ディープテクノロジーで業界全体を変革する」と宣言している。

現在は、くみきを開発者向けエンジン(API)として提供する準備に入っているという。各社が手軽に点群データやオルソ画像を生成できるようになる日は近く、「UI/UXを極限まで追及することで、難解な技術をシンプルに使えるようにする」という渡邉社長の基本姿勢が近い将来、幅広い形で行き渡る予定だ。

近年、スカイマティクスは「地形の詳細を把握したい」という要望を受け、林業分野など建設以外の事業者に向けたくみき導入も急ピッチで促進。「単純に地形の特性が分かれば、すぐにでもその土地で何を始めるべきか決められるのだが…」という嘆きに対して、「くみきを利用すれば、誰でも簡単に地形の概況を捉えられる」という環境整備に成功した。これまで測量会社に依頼するか、現地を見回るしか知る術のなかった状況に、新たな選択肢を加えられた功績は想像以上に大きい。「今後もくみきのリモートセンシング技術が、各企業の発注やデータ作成、納品などに掛かる時間を大幅に削減できるという認知度を広く普及していく。『純国産の確かな技術』というプライドを羅針盤に、これまで慣習となってきた業界内の行動を少しずつでも変容していきたい」と壮大な目標を語った。行動を変えることができれば、働き方が変わり、それは業界全体の労働人口増加につながる。実現すれば、その先に待ち受ける産業構造改革に手が届く可能性が飛躍的に高まる。渡邉社長の俯瞰した視点と、細部にまで徹底するこだわりが、斬新な切り口として形に残ることは間違いない。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。