クラフトバンク総研

中古建機市場の先を見越す。相互通商が新たな仕掛けに着手へ

更新日:2025/4/29

中古建設機械の売買やオークションを手掛ける相互通商(東京都江東区)が、今年1月に会社設立50周年を迎えた。クレーン車やショベルカーなど大型中古重機の価格が高騰を見せる中、同社は週に1回のネットオークションの他、年間に成田で5回、苫小牧で2回、博多で1~2回の売り切りパレードオークションを開催。リアルイベントの現場では、各地で毎回多くの落札希望者が押し寄せ、高額な取引が行われている。

営業部の冨塚達也次長は、「日本で使われた建機は、丁寧に使われ整備が行き届いているとう評判からなのか、『メイド・イン・ジャパン+ユーズド・イン・ジャパン』と人気で、必要とする海外のバイヤーは非常に多い。6月19日~20日に成田で開催したオークションでは、来場者が600人を超え、合計の取引金額も約24憶円に到達した」と先日盛況だったオークションを振り返る。1台のセリにかかる時間は2~3分程度。まるでランウェイのように次々と重機が運ばれ、バイヤーに向けてのアピールタイムを経て、次々と札を上げる手競り方式で落札していく様相は文字通り圧巻で、スケールの違うイベントだということが現場に来れば理解できる。

コロナ禍を契機に開始したネットオークションだが、冨塚次長は「現状ではインターネットに力を注ぐリソースが不足しており、各地でのパレードオークション開催が近くなると、大部分の社員がそれにかかりっきりになり、最新情報が瞬時にサイトに反映されないという事態が発生している。このような状況を防ぐため、当面の解決すべき優先事項は『人手不足を補うための人材育成・採用』と考えている。顧客満足度の向上と組織運営の双方を伸ばせるように尽力したい」と現況を話す。重機メーカーやレンタル会社から商品を買い付け、イベント集客を実施後、パレードオークションの日は全てを売り切る。先日の成田でのオークションでは、冨塚次長だけでなく、代表取締役の稲村中社長も東西奔走する姿が頻繁に見られたことを考慮すると、人材育成・採用は急務のようだ。

日本最大級の建機オークションを手掛ける相互通商だが、冨塚次長は「最近では、価格は安いが性能が良く安全な外国建機も増えてきたので、『メイド・イン・ジャパン+ユーズド・イン・ジャパン』という評価が定着している今だからこそ、新たな仕掛けをしなければという危機感を持っている。競合他社との差別化を図るためにも、ネットオークション部門の強化は避けては通れない。当社の事業が日本の建設業界全体の下支えに少しでも貢献できるよう、会社全体での活動を続けていきたい」。

新着記事

  • 2025.09.05

    社員教育の重視で新たな勝負に挑む 武壱工業

    足場・鳶工事などに携わる武壱工業(山口県下関市)は、社員教育に重きを置く方針を発表した。伊藤武士社長が、スローガンに掲げたのは「日本の未来に貢献する人材育成」。これまで短期間での社員育成を試みたことはあった。しかし、今回 […]
    クラフトバンク総研記者川村 智子
  • 2025.09.04

    「地域の守り手」としての存在感を高める 伊東建設業協同組合

    今年5月に開催した伊東建設業協同組合の総会にて、堀口組(静岡県伊東市)の堀口正敏社長が理事長に就任した。50年以上の歴史を持つ同組合は、若い世代がリーダーシップを発揮する土壌が脈々と受け継がれている。就任直後の挨拶で堀口 […]
    クラフトバンク総研記者松本雄一
  • 2025.09.02

    企業永続を見据えた組織化に本腰 姶良電設

    入社間もない頃、現場作業に従事している時は、順調に業績が伸びていると思い込んでいた。しかし、姶良電設(鹿児島県姶良市)の東鶴真児社長は「いざ決算書を見ると、初めて債務超過に陥っている現実を知った」と当時を振り返る。経営面 […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.08.29

    新たなステージを見据えた活動に注力 ナガタ

    ナガタ(秋田市)の永田勲社長は、「現状維持は衰退の始まり。従業員を守るためにも売り上げを確保し、どのような状況下でもステップアップできる姿勢を貫く」という明確なスタンスを打ち出している。木造住宅の解体や再生可能エネルギー […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇