トランクルームの普及で、ストレージ王が「三方良し」経営を具現化
更新日:2026/3/6
ストレージ王(千葉県市川市)は、2022年4月に東証グロース市場で上場を果たした。セキュリティ・空調完備の屋内タイプと、コンテナ仕様である屋外タイプのトランクルームを提供する同社。創業時の親会社であるデベロップ(千葉県市川市)の建築ノウハウを活かしながら、最適な保管環境の整備やバイク専用駐車場の運営を手掛けるなど、順調な事業領域の拡張と成長を遂げている。現在は全国に223拠点を展開し、管理部屋数は約13000室超にのぼる(2026年1月時点)。荒川滋郎社長は、上場企業での就業経験を買われデベロップから転籍。当初から上場準備に携わり、見事に完遂した実績を持っている。

他社との差別化のポイントとして、荒川社長は「建築基準法が適合した安全・快適な保管環境を叶えられる点」を挙げる。都心ではトランクルームの用途が、個人の家財の外部収納や法人による書類保存などが多く見られる一方、地方では建設業および農業関係者が業務用倉庫としての活用が増加。幹線道路沿いに立地する屋外型トランクルームでは、早朝から職人が必要な道具を取り出すシーンも多く見られるという。会社としては現在、地方の空き家問題に貢献できる可能性を模索。家財の保管場所としての利用が増える強みを活かし、「自治体との共同で空き家問題に悩む地域に増設することも考え始めている」と構想を述べる。近年では、360度カメラを活用した施設内見などDX面の強化も推進。宅配ロッカーを備えた店舗では高圧洗浄機などの貸し出しも行っている。土地の提供者・投資家・利用者が「三方良し」の状態になることを目指し、適正価格・価値提供・安定成長を具現化するための組織運営を心掛けている。

トランクルームの世帯普及率が約10%のアメリカに対して、日本は現状で1%未満と言われており、他国と比べると低く留まる状況が続いている。荒川社長は「この現実を『伸び代』と捉え、潜在的なニーズも意識しながら物件数を増やしたい」と改めて意気込みを示す。トランクルームは、高利回りの投資物件であり、相続対策に適している側面もある。「単純な価格競争に陥るのではなく、適切なサービスにより安定した利便性を提供したい」。端的に自らの理念を述べる視線は、常に前だけを向いている。建築の知見を駆使した「安全・快適なトランクルーム」を届けることで、生活・社会課題を解決する。ストレージ王の魅力的な挑戦は今後も続いていく。

ストレージ王のサービスサイト:https://www.storageoh.jp/
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。







