転換期を存在価値・地位の向上に活かす 竹原建設交友会
更新日:2025/4/25
昨年5月に開催した竹原建設交友会(広島県竹原市)の通常総会にて、5代目会長に岡本弘之氏(岡本組・代表取締役)が就任した。それまで4期・8年に渡り副会長を務めてきた経験を活かし、初年度から新たに事業委員会や賛助会員制度を創設。就任から1年という短期間で既に従来の会則を変更するなど、会員拡大に向けた取り組みを意欲的に進めている。

岡本会長は、来年4月から正式に開始する広島県建設業協会連合会の青年部会を設立するため、所属予定の若手会員と積極的な交流を続けてきた。過去の体験を伝授することで設立の趣旨やビジョン、発足後の具体的な活動内容の策定に当たり徹底的なサポートを実施。「当初、若手メンバーに何となく物事を進めている雰囲気を感じたので、『現状のままでは早々に行き詰まる』と失敗事例などを含めた経験則を伝えた。幸いにもすぐに全員が心血を注ぎ応対した甲斐もあり、質の高い事業を展開できる体制を構築できた」と自信を見せる。父親の創業した岡本組には新卒として入職し、その後24年間の大部分を愛する地元を発展させるために試行錯誤してきた。現役のまま生涯を終えた父から組織運営のバトンを引き継いだ岡本社長が、現在は次世代を担う若手を懸命に下支えする姿は、何とも感慨深いものがある。


竹原建設交友会に所属する会員企業の特徴を岡本会長は、「技術者・技能者を抱える直営企業が多いこと」と率直に話す。2018年の西日本豪雨災害では、この特質が功を奏し、「市内の建設業者が即座に現場に駆け付け、復旧・復興に全力を尽くすことができた」と振り返る。同じ広島県建設業協会連合会に所属する各地区の協会とも、日頃から連携が取れている関係性も長所となっており、会長に就任以降は今まで以上に「地域に必要とされる協会になりたい」との思いが強くなったという。「災害発生直後に発注者の意向に対して、迅速な対応ができるのは地場に根差した協会だけ。当協会は、この立ち位置をより強固にするため、発注機関との制度づくりに尽力する」と語る姿は意欲に満ちている。


昨今、資材・機材の高騰や時間外労働の上限規制など課題は多い。しかし、岡本会長は「これらは見方を変えれば、建設業の底上げや各社の業績アップに繋げる可能性のある要素となり得る。協会の存在価値や地位向上を実現するため、重要な転換点をいち早く察知し、関係各所とも協議を続けていく」と冷静なスタンスを堅持する。「建設業は魅力的なものであり、その事実を知ってほしい」。岡本会長の信念は、シンプルかつオーソドックスだからこそ万人の胸にも響き、人々を結びつける力を持っている。今後、竹原建設交友会が提案した内容により、広島県がどのように変化していくかもポイントの1つになりそうだ。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。