ホワイト企業認定の立島工業が、理想の職場作りを共有
更新日:2025/4/26
立島工業(福島県伊達市)は、2022年から3年連続で「ホワイト企業認定」を取得している。この認定は、労働環境の整備やリスク管理、従業員の健康保持などの基準を満たした企業に与えられるもの。立島晃社長は、「きっかけは、取引先でロゴを見て興味を持ったことだった。建設業界はブラックなイメージが根強く、私自身も劣悪な労働環境を経験した」と体験を語る。その反動もあり、形からでも従業員が働きやすい環境を整えたいと考えた。「名刺にも認定ロゴを載せられており、会社の姿勢をアピールしたいと思った」と取得に対する強い思いを話す。

真っ先に取り掛かったのは就業規則の見直しだ。士業とも連携する形で福利厚生の検証を推進。残業時間の削減や週休2日の導入などを目指し、働きやすい職場環境の実現に取り組み、23年度は月平均残業時間を5時間に抑え、有給取得率100%を達成。見事に社員のプライベート充実化を実現した。この他、バーベキューやボウリング大会といった社員の家族も参加できるイベントを開催し、職場内外の交流も深めている。立島社長は「お節介かもしれないが~」と前置きした上で、「希薄化する世の中にこそ思いやりや優しさが必要」と持論を述べる。その思いは、会社全体に浸透しているようで、最近は社員が自らの意思で意識改革に繋げる言動を促すシーンも増えているようだ。


立島社長は21歳で金物取り付け工としてのキャリアをスタートさせた。「ハローワークで『従業員が少なく給料が良い』という求人票を見て、その条件に惹かれた」と本音を語る。入職後は、現場で技術を磨き「ぜひ立島さんに」と信頼を得るほどの腕前となるも、給料未払いや社会保険未加入などの過酷な環境に直面。従業員が安心して働ける職場の必要性を痛感し、2017年4月に独立。個人事業主として2年実績を積み、2019年11月に立島工業を設立した。

今年、法人化から5期目を迎え、現在は法令順守を徹底しつつ、人材確保と若手育成に注力する。若手と共に作業を進める中で、各々の性格や能力を活かしながら技術力の向上に努める。資格取得の費用は会社が負担し、従業員のスキルアップを全面的にサポートする姿勢を貫く。立島社長は「AIが進化する中でも、変わらず必要とされる人間の能力は貴重な財産。日々の努力で技能を磨き、それぞれのペースで成功体験を積み重ねてほしい」と語る通り、社員が独自に成長できる職場作りに力を尽くしている。

立島社長は建設業の魅力を「自分が手掛けた仕事が形として残り、長く社会に貢献できる点だ」と端的に述べる。成功だけでなく、失敗すらも自身の成長の糧となる現実。自らが取り付けた装飾金物が建物を鮮やかに彩り、「綺麗だね」と評価された時の喜びは何にも代えられないという。手すりやはしごなど、自分たちが取り付けた設備が災害時に命を救う可能性すらある。自身が培った知見が社会貢献に直結するという誇り。誰にも真似できない技術力の習得は、一生の強みであり自分を支える背骨になり得ると、理解できるエピソードである。



確かな実績で信頼を構築し、社会に価値を提供する立島工業。事業に対する堅実な取り組みを矜持に、今日も社員に「働く楽しさ」を共有しながら前進を続けている。既に筆者は、4年連続で「ホワイト企業認定」を取得できる日を待ちわびている。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。