道路安全施設の存在意義を訴求へ 寺部安全施設
更新日:2025/11/5
愛知県道路標識・標示業協会内に2025年4月、青年部会が設立された。青年部長に就任した人物は、寺部安全施設(愛知県西尾市)の寺部岳社長。昨年度、全国道路標識・標示業協会に青年部会が創設された動きに伴い、愛知県でも前身である次世代研修会・交流会を「青年部会」に改編し、団体全体の活性化を担うことになった。寺部社長は、「青年部会に少しでも注目が集まるよう、日々の活動を強化していきたい」と明確な意志を示している。


青年部会に所属する会員は、次世代を担うと目される6人で構成されており、年齢層も20~40代と幅広い。現在は、定期的な勉強・見学会と懇親会を開くなど、知見の蓄積と綿密なコミュニケーションを試みることで親睦を深めている。寺部社長が「親部が協会の組織的な運営や要望活動に力を注ぐ中、青年部会では若い人の窓口と機能するよう工夫したい」と業務内容を語り、当面は協会に所属する正・賛助会員の約65社から会員拡大を募る方針を示している。「模索を重ねる段階」とした上で、各社が現場での成功談や失敗談を持ち寄り、プレゼンテーションし合う場を設けるなど、「競争環境に身を置くことが、切磋琢磨に繋がる。青年部会に所属するメリットを増やすことで、会員増加の間口を広げたい」と見立てを述べる。既に全国の同業者からも自動運転など高度化する最新の見識に関する知見を得ており、「これらを愛知県に還元することで、更なる可能性の拡張を目指したい」と前向きな姿勢を保つ姿も印象的である。


創設者の祖父に見守られながら育った寺部社長にとって、「会社は幼少期から身近な存在だった」とスタンスを語る。祖父から受けた「社名に込められた安全の意味を深く考えてほしい」という訓示を指針に、気付けば歩み続けてきた同じ道。JFE建材名古屋支店を経て同社に入り、現場や営業で経験を蓄積した後、2024年4月に社長就任を果たした経緯を持つ。自社の強みは「豊富な資材ストック、自社所有の折り曲げ機とエアーストライカーの3点」。日常の業務で培ったあらゆる物事を青年部会に活かす意向も示しており、「会員企業と共に飛躍を目指せる現実を大切にしたい」と利他的な心遣いも見せている。


業界全体の課題を「魅力向上と担い手確保」と即答する寺部社長。青年部会や自社の一連の取り組みを通じて、道路安全施設の重要性や存在意義を訴求する必要性を誰よりも痛感しており、実現するための準備も着々と進めている。「自動車大国・愛知から、微力ではあるが業界をより良い状態で次世代に引き継ぐために全力を尽くす」。新たな覚悟を口にする姿は勇ましく、新体制下での今後の活動に期待せずにはいられない。
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。








