新たなステージを見据えた活動に注力 ナガタ
更新日:2025/8/28
ナガタ(秋田市)の永田勲社長は、「現状維持は衰退の始まり。従業員を守るためにも売り上げを確保し、どのような状況下でもステップアップできる姿勢を貫く」という明確なスタンスを打ち出している。木造住宅の解体や再生可能エネルギー事業を手掛ける同社。祖業である解体工事に囚われない事業展開を目指しており、常日頃から極限までのトライ&エラーを繰り返している。

当初は、父が創業した廃棄物収集運搬の仕事を手伝っていた。しかし、「若い時期に多様な経験を積む」と決心し、外資系保険会社の営業職などで全国を飛び回り、37歳で地元にUターンした。「手に職がなく、従来から知っていることから始めようと思った」と謙遜するが、昔取った杵柄を活かし、廃棄物収集運搬で生計を立てるべく前身の「ナガタ商店」を立ち上げた。

ターニングポイントは、知人から依頼された共同住宅の解体工事に協力できたこと。人生で初めての体験に手詰まりを見せた時期もあったが、「気付くと解体業にのめり込んでいった」と当時を振り返る。持ち前のフットワークで営業活動に奔走した結果、社内に有資格者が揃う体制を構築。現在は約30人の従業員を雇用しており、年間約110棟を安定的に受注するまでの成長を見せている。「解体する住宅は単なる建物ではない。住んだ方々が人生の節目を共に過ごした特別な存在だ」という確固たる信念の下、従業員には「細部に至るまで配慮した施工を」と指導を徹底する姿が印象的である。


永田社長は、「環境保護の観点から始動させた木材利活用の分野を拡大したい」と意向を示す。現段階では、現場で発生した廃材を自社所有の中間処理場「NAGATA ECO BASE」でチップ化している事業に着目。県内にある雄大な自然を活かした、間伐材の有効利用を目論んでいる。既に家庭や工場、温泉施設などに設置可能な屋外型木質温水器や木材調達のネットワーク構築などについて、大学教授や林業従事者らと協議を重ねている。また、都内の現場には3人の社員を出向させ、「杭打ち工事一式という異なる工種になるが、独自に受注できる組織を目指す」と新たな知識・経験の習得を促している。一連の動きを見せる動機は、「需要が限られる中、あらゆる物事に備えなければ、必ず将来の選択肢を狭めるから」。過去・現在を冷静に分析し、未来に向けてスタートを切る姿に迷いはない。


自身の根底にある信条は、「現状に満足しないこと」と「意欲さえあれば、人はいつでも変われる」。先行きの不透明な状況が続く中、立ち止まらず常に行動を続けてきた軌跡が、新たな知見の獲得に繋がってきたと見て取れる。「これからも地域を最優先にした活動を活性化させていく」。新たな誓いを宣言する姿は勇ましい。解体を通じ、地域・自然環境に貢献してきたナガタが新たなステージを迎える今、次なる一手をどのように具現化するか興味深い。


この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。