世代交代を果たした東京防水。事業拡大も視野に入れた活動へ
更新日:2025/4/30
マンションや戸建て住宅などへの様々な防水施工を手掛ける株式会社東京防水(東京都足立区)の東本貴大社長は、飲食業から建設業に転身した異色の経歴を持つ。「職人は怖い、仕事は不安定で危険」という一般的な建設業に対するイメージを変えたいとの思いから「東京防水」を立ち上げ、日々その具現化のため事業を続けている。

一昨年、新事務所を設立した直後、中堅社員が独立を表明。東本社長は、応援する気持ちを表明しつつも、自社に留められる魅力を引き出せなかった現状をとてつもなく悔いていた。しかし、退職した中堅社員を追いかけていた若手が、「空いた穴を埋めようと急成長してくれたことが背中を押してくれた」と当時を回想する。正確な技術も身に付け始めた若手からは、「自分たちが組織の軸として動いてみせる」という強い意志を感じ取ることができたことで、東本社長は「今後の組織体制の地盤を固めることができた」と確信。予期せぬタイミングではあったが、社内の世代交代を果たしたことが、現在の売り上げを落とさない堅調な組織運営を生むという貴重な体験に繋がった。

東本社長は、「10期目である3年後に、売り上げ10億円を目指す」と具体的な目標を明言。現在は達成に向けた販路拡大と共に採用活動に力を入れており、「このチャンスに若手社員を確保し成長させたい」と意欲を見せる。「社員の育成環境が整えば、技術の継承を進めることができ、業界内で深刻化する高齢化にも一石を投じることが可能になる。現在、2024年問題を筆頭に、給与制度や週休2日制への対応など多くの課題が存在するが、若手の採用・育成という最初のステップを克服することで、建設業界に貢献していく」という明確なスタンス。日頃から若手のニーズに寄り添いながら解決策を導き出すという、東本社長のスタイルと合致しており、社員からの信頼が厚い現実も納得である。


東京防水では、作業者ごとにクオリティの差が出ないよう、独自の施工マニュアルを基にした技術指導を実施している。丁寧なだけでなく、材料選定からこだわる教育手法が若手の間で大きな人気を呼び、近年では特に20代の社員が増加。入社直後に徹底する顧客に対してのマナー教育の効果も顕著で、「最近入社した若手社員も、志が高く頼もしい存在に成長している。今後は、これまで私1人が担ってきた作業も早急に任せ、近々にも事業拡大を視野に入れた活動に入る方針だ」と自身の計画を話す。東本社長が掲げる今年のテーマは、「組織作りを基に、次のステップを目指すこと」。組織拡張には、社内のルール化などにも重点を置く必要だが、「必ずやり切ってみせる」と東本社長は並々ならぬ意志を見せる。防水工事を通じて、社会に安全・安心を提供してきた東京防水。更なる飛躍に向けた序章は、間もなく開始されるはずだ。
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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。