クラフトバンク総研

TSYが利益率増加に向けた活動を実施

更新日:2025/5/2

TSY(東京都江戸川区)は、オフィス・店舗・住宅の内装工事を全て自社施工で行う企業。特にOAフロアの施工に力を入れており、官公庁や大手デベロッパーなどと多くの施工実績を持っている。徳丸貴文社長は、2005年にTSYを設立。それまで仲間たちと共にバンド活動を行っており、本気でメジャーデビューを目指した後、バンド在籍時より続けていたOAフロア工事の体験を基に、会社を設立した経緯がある。

設立当初から人数は少ないが社員も雇い、常に仕事も自分で回せるサイクルは作れていた。しかし、3年が経過した頃、自分がある程度何でもこなせてしまうが故に、その大部分の負荷が自身に掛かり続けていたことを認識。この状況を放置すると「本当に死んでしまうかもしれない」という危機感から、企業永続に向けた組織化を進め、毎年社員が順調に増えるよう変革していったという。創業時からメーカーの依頼で工事を請け負うスタイルが主流だったが、ここ4~5年では、自分たちで内装会社や工務店に向けて営業する割合も増加。他社で経験を積んできた社員が、ゼロから新規顧客の獲得方法などを社内に伝授するなど、徳丸社長は「これまでにない良い形を見せ始め、メーカーだけに依存し過ぎない業務推進を実現し始めている」と変化を語る。OAフロア工事の詳細は、フロアの下に隠れていることもあり、仕事自体を知らない人も多い。しかし、間違いなくこの分野は、オフィスにとっては必要不可欠なもの。「『我々が不在だと、テナントさんも成り立たない』というプライドを胸に、縁の下の力持ちとしての役割を果たしていきたい」という徳丸社長の思いは、人並み以上に熱い。

「今後は、元請けとしての案件を増やせるよう、営業強化に取り組んでいく。自社で手掛ける件数が増えるということは、利益率の増加に直結し、それは社員に還元できる割合を変えられるということ。もちろんメーカーから頂く仕事とのバランスもあるが、この比率を5:5くらいに引き上げるために、メールやDXを駆使した営業力の強化に励んでいきたい」と先を見据える。「とにかく直近で克服すべき点は『人の問題』。OAフロア工事の場合、遅くても30歳くらいまでに経験を踏まなければ、身体に受けるダメージの上手い逃がし方などが習得しにくい傾向が依然として残っている。今年11月からは実習生も入る予定だ。当社では、誰が来ても一人前に育て上げるシステムをいち早く構築できるよう、できる限りの努力を続けていきたい」と今後の展望を述べた。

新着記事

  • 2025.05.27

    ショールーム開設のハマニ。左官技術の伝承に全力を尽くす

    「とにかく職人の採用・育成の改革が急務だと感じた」。  左官・土木工事を手掛けるハマニ(静岡県浜松市)の河合滋社長は、慣習として続けてきた「見て学ぶ」「技術を盗んで覚える」という従来の職人文化に限界を感じ、体制の移行を決 […]
    クラフトバンク総研記者川村 智子
  • 2025.05.23

    「誰かの笑顔のために」、三瓶工業がDX駆使で新たなステージへ

     ㈱三瓶工業(山形県天童市)は2022年、設立50周年を記念して会社のロゴや制服、ヘルメットなどのデザインを刷新した。アイデア作りからデザイン製作までを一括で依頼した先は東北芸術工科大学。地元の芸大生との連携により、これ […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.05.14

    事前防災の定着に最善を尽くす 目黒建設業防災連合会

     目黒建設業防災連合会は2021年5月に発足し、初代会長には加藤公章氏(加藤電気工事)が就任した。同連合会は、目黒区内の建設・電気・設備・造園の4団体から構成されており、加藤会長は「地元の建設業が何をすべきかを突き詰めた […]
    クラフトバンク総研記者川村 智子
  • 2025.05.09

    若手による地域活性化に挑戦 平畑建設

     平畑建設㈱(広島県三原市)の平畑隆也取締役が、広島県建設業協会連合会・青年部会の幹事長に就任した。今年3月28日に開催した設立総会では、「我々の世代で新たな価値や経営モデルを提示し、未来を創り出せるよう全力を尽くす」と […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦