唯一無二の精鋭部隊。「現場が主役を体現へ」
更新日:2025/5/2
2008年9月、ワーキングスタイルが会社を設立した同時期にリーマンショックが発生した。建設業界だけでなく、全世界を揺るがした惨事下での船出となったが、堂垣駿介社長は冷静かつ客観的な視点で現場の状況を分析。「現場には必要とされる仕事はあるのに、各社は『足場』や『型枠』など分野ごとに固執する傾向が強い」と捉え、あらゆる会社に採算度外視も覚悟して「どんな小さな仕事でも請け負うので任せてほしい」と掛け合い続けた。実施当初は極めて厳しい状況だった。しかし、「1つの仕事で信頼を獲得し始めると、その反響が拡散し、リピーターや新規の依頼が増えていった」と回想する。このような経験を基軸に取り扱う工事の幅を徐々に広げていき、現在の電気工事や機械設置、解体など合計8種類の工種を取り扱う企業として確立することができた。

事業展開する上での強固なモチベーションは「建設現場にスポットライトが当たる環境をつくりたい」という熱い思い。全社員が「複数の工種に対応できれば、その分だけ可能性が広がる」ことを熟知しており、社内には多能工の精鋭部隊が控えている。何かが起こった際には社員同士で補完し合う組織体制も整えた。これらが顧客からの「分離発注することなく、1社で全ての工事を完結できるので大きな安心感がある」という高い評価につながっているという。円滑な現場進行や品質の維持管理なども徹底しており、各社から「唯一無二の存在」として定着し始めた。これまでワーキングスタイルが続けてきた地道な業務推進の成果が今、花開いている。

堂垣社長は「会社の立ち上げ当初から、売り上げ10億円の施工会社に成長させることを目標にしている」と断言する。今期の売り上げは約7億円のため、このまま順調に進めれば近い将来の達成が現実的だ。しかし、「まだ課題は多く残っており、実現までの道のりは長い」と気を引き締める。

「コロナ以降に需要の多い電気設備や、省エネ住宅に関連したウレタン断熱などをさらに伸ばすことが重要だ。リノベーション部門が引っ張る現状を、少しずつでもバランスの取れた編制にするなど、取るべき対策はまだ多い」という考えを示す。無事に成就すれば、ワーキングスタイルを次のステージに押し上げられる可能性が高まりそうだ。「今後も『建設現場こそが主役』という至上命題を、業界全体に浸透させられるよう日々奮闘していく。1人が多くの工事を担える当社の特色を活かし、建設現場を魅力的なものに変革していきたい」。
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。