クラフトバンク総研

地域・顧客に寄り添う経営を継続 山ちゃん建装

更新日:2025/6/2

盛岡市を中心に住宅のリノベーションやリフォーム事業を展開する山ちゃん建装(岩手県盛岡市)が、昨年6月に創業から3期目を迎えた。山内剛社長は、「苦しい時期が続いたこともあったが、周りの助けもあって続けることができた」と感慨深げに振り返る。専門学校で建築学を学んだ後、修業を積み2014年に個人事業主として独立。既に存在する多くの同業他社と差別化を図る中で、「まずは社名を覚えてもらいたいと考えた。思い出しやすく、キャッチーな名前を付けよう」と考え、自身のニックネームである「山ちゃん」を屋号にした。2022年6月に法人化し、「山ちゃんに任せれば安心」と言われる会社を目指し業務に励んでいる。

山内社長は、「ここ数年、世の中は大きく変化しており、これまで当たり前だった『住まいは新築』という考え方も薄れつつある」と近年の動向を指摘する。生活スタイルと同様に、住居の形も多様化している中、いかに顧客のニーズを汲み取り、迅速に対応できるかを念頭に置き、日々作業に当たっている。「難工事も多くあるが、『終わらない仕事はない』と考えて全力を出してきた。これまでの経験を活かしながら、何よりも安全最優先での業務を心掛けている」と心持ちを表す。

同社のユニークな取り組みの1つに、盛岡市の伝統行事である「さんさ踊り」への参加がある。山内社長は「私自身さんさ踊りが大好きで、コロナ禍前から『会社として出たいね』と社員と話していた。出場したいとは思いつつ、練習日程が合わないなどの理由から、自身で独自に団体を立ち上げて出場しようかとも考えていた」と経緯を明かす。2023年に長年の構想期間を経て、「ガテン系ダンサーズ」として協力会社と共に初出場を果たす。建設会社の技術力を終結させた花車は観客の注目を集め、パフォーマンス賞を受賞したほどの盛況ぶりだったようだ。

今後の目標を聞くと、「売り上げを倍増させていきたい気持ちもあるが、まずは安全を重視する形で、4期・5期と堅実な経営を継続できる体制を築きたい」と本音を話す。直近の課題としては、若手の定着と育成を挙げており、どのような状況でも満足の行き届いた教育ができる環境の確立も意識しているようだ。モットーは、「これまで培った技術やフットワーク、決め細やかなサービスによって、お客さま満足度向上を実現させること」。地域社会への貢献を念頭に山ちゃん建装は、今日も顧客に寄り添った仕事を手掛けている。

新着記事

  • 2025.06.04

    技術継承の橋渡し役を担う 日本多能工協会

     2023年8月4日に日本多能工協会が設立された。代表理事を務める人物は、結城伸太郎氏(ゆうき総業・代表取締役)。20歳の時に刷毛一本で独立し、職人不足の中でも若手育成に励み、地道な活動を経て現在地に辿り着いた経緯がある […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦
  • 2025.05.30

    久志本組が200年企業に向けた取り組みをスタート

     久志本組(三重県四日市市)の清水良保社長は、日頃から社員に「地域の方から頼られた時に『嬉しい』と素朴に感じられる人であってほしい」と伝えている。会社は、創業から120年以上の歴史を四日市市に刻み続けてきた。シンプルでオ […]
    クラフトバンク総研記者信夫 惇
  • 2025.05.27

    ショールーム開設のハマニ。左官技術の伝承に全力を尽くす

    「とにかく職人の採用・育成の改革が急務だと感じた」。  左官・土木工事を手掛けるハマニ(静岡県浜松市)の河合滋社長は、慣習として続けてきた「見て学ぶ」「技術を盗んで覚える」という従来の職人文化に限界を感じ、体制の移行を決 […]
    クラフトバンク総研記者川村 智子
  • 2025.05.23

    「誰かの笑顔のために」、三瓶工業がDX駆使で新たなステージへ

     ㈱三瓶工業(山形県天童市)は2022年、設立50周年を記念して会社のロゴや制服、ヘルメットなどのデザインを刷新した。アイデア作りからデザイン製作までを一括で依頼した先は東北芸術工科大学。地元の芸大生との連携により、これ […]
    クラフトバンク総研編集長佐藤 和彦