DX駆使で経営課題の壁を打破へ。裕理が組織拡大に向けた動きを加速
更新日:2025/5/2
人工芝専門の造園工事を行う裕理(愛知県豊田市)の土淵裕貴社長は、トヨタ自動車(同県同市)で17年ほど勤務した後、建設業界に入職した。未経験の建設業に飛び込む直接的な動機は、結婚を機にパートに出ていた奥様が人口芝に興味を持ったこと。2017年に個人事業主として創業以来、二人三脚で事業を展開しており、21年の法人化に辿り着くことができた。

創業して間もなく、人工芝専門店・しばんちゅとよた(同県同市)のフランチャイズに加盟。県内の犬を飼う家庭や幼児を育てる家族などに、10年近く手入れ不要の人工芝を提供しており、顧客からも「1年中、面倒なメンテナンス無しで、青々とした綺麗な芝を楽しめる」という評判が浸透し始めている。最近では、ぎふ清流里山公園など、エクステリア工事の大型案件も舞い込むようになり、法人3期目となる現在まで順調な実績を積み上げていることが特徴だ。

具体的な集客手法を土淵社長に聞くと、「SNSなどを通じたウェブ広告と、新聞の折り込みやポスティング。当社は、新旧織り交ぜたハイブリッドな方法を選んでいるから」と少し照れながら答える。Google広告では、1日で約10件という安定した反響を得ている他、SNS経由でも定期的なキャンペーンを打つなど、趣向を凝らすことで着実な普及促進を実現。新聞の折り込みチラシでは、地域に特化したデザイン・キャッチコピーを取り入れるなど、独自の戦略が軌道に乗り始めているようだ。


土淵社長は「従業員がなかなか定着しない現状はあるが、常に採用に力を入れ続けることで、今後もエクステリア・造園に携わる仲間を増やし、会社の売り上げを倍増できるよう努力したい」と意気込みを話す。手探りの状態で導入した、建設業に特化したDX経営管理ツールの効果もあり、利益率・生産性の向上に着目した経営も体得し始めたという。DX駆使の流れを良きスパイラルとして、「人の課題解決」に繋げることができるのか。裕理が現在、組織拡大への壁を打破する直前に立っていることがよく分かる。

「今後も造園工事業者だからこそできる、お客さまと徹底的に向かい合ったサービスで、満足度を上げ続けられるよう最善を尽くしていく。過去のお客さまからのご紹介が連鎖するなど、今までにない良い兆候も出始めている。当面の目標は、従業員10人・売り上げ3億円に設定した。この宣言が有言実行として実を結ぶよう、小さいが堅実な歩みを積み重ねていきたい」
しばんちゅとよたのInstagram=( https://www.instagram.com/shibanchu.toyota/ )
この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。