南大阪の王者になるべく、太洋リースが変革を追求へ
更新日:2025/4/24
太洋リース(大阪府堺市)は、昨年4月に創業50周年を迎えた。祖父である柳田昌宏氏が、「軽仮設機材(足場)のレンタルを通じて、工事現場の安心・安全文化を構築すること」を理念に創業した同社。会社は「皆で築こう仕事で信用」をテーマに、仮設機材のレンタル・販売・計画・買い取りなど、幅広い業務を近畿エリア中心に手掛けている。

大仲孝明社長が、新卒で太洋リースに入社した時期が1994年。社会人として建設業界の「いろは」を習得する中、翌年1月17日に阪神大震災が発生した。それまで、車の運転や現場での御用聞きなど、主にアシスタントとしての役割を担ってきたが、復興工事に携われたことで「誰かのために働けるという誇りを持つことができた」と分岐点を振り返る。様々な現場で経験を蓄積し、2014年には代表取締役社長に就任。顧客からの信頼を獲得するため変革を恐れず、会社としてのスキルアップに挑む日々を送っている。

経営者としてのエポックメイキングを、大仲社長は「全国仮設安全事業協同組合(ACCESS)・青年部の一員として、2016年12月に『建設職人基本法』の骨格となる具体案を提示し、衆参両議院の全会一致で可決・成立できたこと」と即答する。工事現場で働くあらゆる人々の安全確保を実現した同法案は、前理事長である小野辰雄氏を中心にしたACCESS設立からの悲願であり、それまでに無いゲームチェンジの瞬間に立ち会えた」と熱を帯びる。また青年部には、足場工事業に関する処遇や旧来のイメージ脱却を図るため、志が同じ会員が集結。大仲社長も現在は副会長として、国土交通省と定期的な意見交換に出席しており、業界発展のために全力を尽くしている。

足場レンタルの現場では、現状でもアナログな部分が多い。しかし、大仲社長は「そのような課題を克服した上で、当社が南大阪の王者になりたい」と野望を述べる。特に営業分野では、社員に「チーム戦で負けることがあっても、タイマンでは絶対に負けるな!」と伝えており、このようなメンタリティーと余力の確立が、強固なチームワークが続く所以となっているようだ。「最優先事項が、『現場の安全・安心』ということは不変。今後も豊富な品揃えとスピーディーな対応を徹底することで、建設業界の発展に貢献していきたい」と強い意志を示す。「私のベースは、ACCESSと同じ」と断言するほど、組合内には心が通じ合う同業者の仲間が多い。会社・団体の双方で、縁の下の力持ちとして社会に貢献する太洋リースから今後も目が離せない。
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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。