愛知建協と建専連中部が意見交換会を開催
更新日:2026/10/28
愛知県建設業協会(髙柳充広会長)と建設産業専門団体中部地区連合会(清水敬央会長)は、10月27日に愛知建設業会館で意見交換会を開いた。公共工事設計労務単価の適正反映、CCUS制度の推進など計4項目を議題に、専門工事業団体の個別要望も含めて協議した。両会長の挨拶以降は非公開で行われた。

冒頭の挨拶で髙柳会長は、「建設産業が将来に渡り持続的に発展するには、元請企業だけでなく専門工事業を含めた産業全体で適正な利益を確保し、技能者の賃金や処遇改善、人材育成を有益に進めることが不可欠だ」と指摘。その上で、「労務費や資材価格の高騰を実勢価格へと適切に反映させると同時に、発注者・元請・専門工事業者が互いに理解し、協力し合える強固な環境づくりを推進していく」と述べ、適正な価格転嫁と相互理解を基盤とした業界全体のボトムアップに意欲を示した。

改正建設業法の施行から間もなく1年を迎える中、清水会長は、標準労務費の設定や若者の入職促進といった法改正の理念が取引現場に十分に浸透していない現状に強い危機感を示した。「施行から1年を迎えようとしているが、その趣旨が元請の現場の隅々まで浸透しているとは、まだ残念ながら思えない」と率直な所感を述べ、「標準労務費が徹底されなければ専門工事業に若者は入職せず、このままでは私どもの5年先、10年先の存続は見通せない」と訴えた。

労務単価の適正反映に関しては、連合会は、設計労務単価を下回らない賃金水準の確保や民間工事への適正な労務費の反映を要望。労務費・法定福利費・材料費・安全衛生経費・現場管理費などの明確な区分計上と、ダンピング防止の徹底も求めた。愛知県建設業協会は、労務単価の引き上げを積算上の改定に留めず、下請企業への適正な労務費の支払いと技能労働者の賃金引き上げに確実に繋げることが重要だとした。元請として、下請が提出する労務費の内訳を明示した見積りを尊重し、最新の設計労務単価や労務費に関する基準を踏まえて適正な労務費を確保するとともに、法定福利費や安全衛生経費も適切に計上する必要があると整理。下請との十分な協議を通じて、元請・下請双方が適正な利益を確保できる取引環境の整備に取り組むとしている。
CCUS制度の推進について連合会は、CCUSレベル別年収標準値を下回らない運用や、下請企業への適正支払いの徹底を要望。現場のカードリーダーは元請主導で設置率を高め、携帯アプリや顔認証など代替手段の導入も促すよう求めた。愛知県建協の回答は、CCUSを技能・経験に応じた適正な評価と処遇改善、担い手の確保・育成につながる重要な取り組みと位置づけた。会員企業には、下請企業や技能者の登録促進、カードタッチの徹底などに積極的に取り組むよう周知していると報告。制度の導入を形式的なものに終わらせず、蓄積された就業履歴や能力評価を賃金・手当などの処遇改善に結び付けることが重要だとし、下請との連携を強化して、登録や現場運用に伴う負担にも配慮する考えを示した。
この他、連合会は資材高騰について、20〜30%の価格上昇を踏まえた価格転嫁の仕組みづくりと建設機械損料の実勢反映を要望。外国人材では、特定技能2号の流動化を踏まえた適正賃金の確保と、定着支援策の強化を求めた。個別要望では、全国クレーン建設業協会愛知支部が適正施工体制の確保と技能者処遇改善、中協コンクリート圧送事業協同組合が建退協制度の単価設定改善を訴えた。日本塗装工業会中部ブロックは、設計変更運用とスライド条項の適正適用に関して要望した。
両団体の意見交換会は約10年ぶりの開催となる。愛知県建協と連合会の両者が、協働を通じて中部地域の建設産業が将来にわたり持続可能な形で発展することを確認しあい閉会した。
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 信夫 惇
建通新聞社に10年間勤務。東京支局・浜松支局・岐阜支局にて、県庁などの各自治体や、建設関連団体、地場ゼネコン、専門工事会社などを担当し、数多くのインタビューや工事に関する取材に携わる。
2024年にクラフトバンクに参画。特集の企画立案や編集、執筆などを手掛けている。

