佐藤浩光さん(佐藤左官工業所・代表取締役)
更新日:2025/11/13
4代目として家業を継ぎ、まもなく10年を迎える。幼少期から祖父に連れられて現場に通い、左官の世界に親しみを持ちながら育ってきた。高校卒業後は「反抗期の真っ只中で家業には後ろ向きだった」と笑うが、周囲の後押しで入学した訓練校での恩師との出会いが人生を変えた。「とにかく厳しかった。でも絶対に見捨てない人だった」。叱られながら腕を磨き上げ、21歳で技能五輪世界大会に出場し敢闘賞を受賞した。45歳になった今も第一線で、左官の技術と魅力を広め続けている。

近年は外国人技能者の受け入れにも力を入れる。「最初は不安もあったが、現地で会うと真面目で熱心な人ばかりだった」と本音を述べる。来夏には新たに1人が加わる予定であり、今までは社長自身が日本語指導を時間外に担当したが、「その様子を見た若手社員が名乗りを上げてくれた。技術・精神も着実に伝承できている」と目を細める。
.jpg)
経営の信条は「任せること」。現場ごとに最適なやり方があり、上から口を出せば良さが消えるという考える所以である。自主性を尊重する姿勢が成果にも直結しており、社内の雰囲気も良好だ。休日には社員と釣りに出かけるほどの良好な関係性について、「よく社長っぽくないと言われるけど、それで良い」と微笑みを見せる。
人が育ち、技が伝わり、次の時代へ受け継がれていく—その循環が佐藤左官工業所の礎であり、未来を築く力となっている。
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。







