富士建設業協会
更新日:2026/2/3
【若者が振り向くきっかけを作る】
富士建設業協会の井上有之会長(井上建設株式会社・代表取締役)は、「担い手の確保」を最重要課題に掲げ、若手入職者の確保・育成に注力している。近年では、将来建設業を背負うことが期待される地元の高校生に、建設業の魅力や重要性を伝える活動を強化し、沼津工業高校や富岳館高校などと連携した出前授業を積極的に手掛ける。教員や生徒からの評判は上々だが、少子化を背景に工業系高校の生徒数は年々減少の一途を辿っており、極めて険しい道と向き合う日々を送っている。協会が一般社団法人に移行してから、13年の年月が経過した。井上会長は「建設業の醍醐味を伝え続けることで、一人でも多くの若者が業界に振り向くきっかけ作りを続けたい。そのための種まきを今後も地道に継続する」と並々ならぬ決意を示している。


【女性が活躍する建設業へ】
井上会長は、様々な人材の活躍が業界活性化に繋がると確信を持っている。「建設業界は男性の職場というイメージが根強いが、それはもう過去の話になっている」と強調する。自身が経営の舵を取る井上建設では、多くの女性技術者の採用に成功。「女性が働きやすい環境を整えることで、結果的に男性も含めた全社員にとっての好循環を生み出せることに気付けた。特に仕事の面では、物事の着眼点や進め方において新たな視点を加えられ、会社全体が良い方向に変われている」と手応えを口にする。社員の充実化を図ると、業績が上がるという事例を体現した形となっており、「この方針を推し進める」と強い意志を見せている。

【協会主導でDXを加速化する】
性別を問わず誰もが活躍できる業界を目指す上でのキーポイントを、井上会長は「DXの活用だ」と断言する。協会では、富士砂防事務所などと連携し、ICT技術の勉強会や現場見学会を定期的に開催。ドローンを使った3次元測量や、設計データを読み込ませて自動で掘削を行うICT建設機械など、最新技術に触れる機会を積極的に設けることを心掛けている。「生産性向上の効果は絶大だ。特に災害復旧のような緊急を要する現場や、人が立ち入るのが危険な場所での作業では、リモート操作や自動化技術は大きな力になる」と今までの経験を語る。他地域では、安全書類などを共通のプラットフォーム上で管理する成功事例も数多く作るなど、地道だが着実な実績を蓄積。富士・富士宮地区でも皆が同じ方角を向けるよう仕組化を急いでおり、協会として建設DXの導入を加速化する指針を掲げている。

【与えられた宿命と冷静に向き合う】
富士・富士宮地区は、常に富士山の噴火という災害リスクと隣り合わせの状況に直面している。防災・減災対策は建設業者の大きな使命であり、大規模な砂防堰堤の建設工事などを協会の会員企業がその都度担う形となっている。行政機関との連携の複雑さもこの地域特有のものであり、道路は静岡国道事務所や沼津河川国道事務所、砂防事業は富士砂防事務所、富士川を越えれば国土交通省関東地方整備局と管轄が分かれている。同じ地域内でも事業ごとに担当が異なるなど、戸惑う状況は多いが、「各機関と緊密に連携を取り、地域のインフラ整備を円滑に進めることが、協会の重要な役割だと認識している」と団体としての宿命とも冷静に向き合うスタンスが印象的である。

【誇れる建設業を目指して】
井上会長は、建設業の旧来のイメージである「きつい、汚い、危険」というネガティブなイメージを脱却し、「誰もが誇りを持って働ける業界に変えていく」と力を込める。女性や若者がより働きやすい環境を改めて作ることは喫緊の課題であり、これらを実現するには「各社が自らの意志で日々のバージョンアップを繰り返すという意識付けが重要」と具体案を示す。協会には「早期に最新技術を駆使できるようになることが、将来を担う若者の入職を促進する」という明確なビジョンがある。井上会長は「業界全体が団結して地域の未来を描けるよう、引き続き会長として汗をかいていく」と前だけを見つめる。協会における活動は、これまで培ってきた知見を後世に繋ぐために存在している。井上会長の掲げる目標が、今後どのような形で花開くか興味が尽きない。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。







