沖縄県鉄筋業協同組合
更新日:2026/2/23
【2代目の理事長に就任】
昨年9月に粟國達成氏(國健鉄筋工業・代表取締役)が、沖縄県鉄筋業協同組合の2代目の理事長に就任した。以前は、沖縄県内にある鉄筋工事業協同組合と鉄筋業協同組合の2つが並列し、反発し合う時代もあった。しかし、粟國理事長は「沖縄県に存在する専門工事団体として1つになり、全国標準に歩みを揃えなければ未来はない」と工事業協同組合の発起人として尽力。その強い危機感から2022年に組織統合を果たした実績を持つ。信念として真っ先に掲げるのは「情報の即時性」。自らが頻繁に本土に足を運び、そこで得た最新の業界動向や技術情報を積極的に共有する。沖縄特有の情報格差を解消する精力的な活動が、組合員に新たな価値を与える源泉となっている。


【適切かつ適正な取引を求める】
沖縄県には、組合員を除いた鉄筋工事業者が400社近く乱立している。台風常襲地帯である県内はRC造の需要が底堅く、他県と比較すると容易に独立できる状況によるものだが、粟國理事長は「これが適正な単価形成を阻害している」と指摘。「社会的な貢献を果たし、組織としてコンプライアンスを徹底する組合員と非組合員が同列に扱われるのは承服できない」と言い切り、問屋やメーカーに対し、取引ルートの透明化と組合員への適正な優遇を強く要求する。沖縄県では、公共工事における設計労務単価は全国トップクラスの水準に設定されているが、それが末端の技能労働者の給与に十分に反映されていない実態を提示。内閣府沖縄総合事務局や沖縄防衛局などを巻き込むことで、適正単価による発注と適切な労務費の支払いを監視・促進する体制作りを急いでいる。


【戦略的なBCP策定】
粟國理事長は現在、組合主導のBCP(事業継続計画)の策定支援に主軸を置く。経済産業省から専門のアドバイザーを招聘し、策定に向けた勉強会を開始。役員が3ヶ月程度で認定資格を取得後、組合員である全社に普及するロードマップを描いている。このBCP策定は、公共工事の総合評価落札方式での加点対象となる他、認定ロゴの活用による対外的な信頼性の向上に繋がるなど、災害対策だけに留まらない戦略的な一手となっている。「会員が心の底から『組合に入っていて良かった』と実感できる環境を整えたかった。組織の結束力を高め、業界全体の底上げを成し遂げたい」と常に先を想定する視座の高さが特徴である。


【省力化実現し、次世代の担い手確保へ】
深刻な人手不足と若手入職への対策として、粟国理事長は「省力化」の重要性を挙げる。旧態依然とした「高い給料を払っているのだから、泥にまみれてクタクタになるまで働け」という慣習を真っ向から否定する。「120%の体力を使い切って稼ぐ時代は終わった。DXや機械化、マニュアル整備によって知恵を絞り、60%の負荷でも同じ成果を出せる環境の整備が次の世代に対する責務」と確固たるスタンスを提示。重労働というイメージの払拭や、離職率の低下、担い手確保に向けた活動などを継続する。粟國理事長は、「情けは人のためならず」という言葉を、「組合のために動くことが自社および業界の繁栄に巡る」と解釈し、利他の精神で団体の運営を担う。自らを情報の「足軽」と称し、そのネットワークを駆使しながら、九州中を奔走する粟國理事長。その情熱と実行力は、沖縄の鉄筋業界を「稼げる、誇れる職種」に進化させる原動力となるはずだ。
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 記者 松本雄一
新卒で建通新聞社に入社し、沼津支局に7年間勤務。
在籍時は各自治体や建設関連団体、地場ゼネコンなどを担当し、多くのインタビュー取材を実施。
その後、教育ベンチャーや自動車業界のメディアで広告営業・記者を経験。
2025年にクラフトバンクに参画し、記者として全国の建設会社を取材する。







