神奈川県左官業組合連合会
更新日:2026/3/4
【9代目の会長に就任】
2024年3月に舘花猛氏(舘花工業・代表取締役)が、神奈川県左官業組合連合会の会長に就任した。9代目の会長として1期目は、日本左官業組合連合会との連携を綿密に図りながら、年に合計4~5回ほど総会や会議、研修などを実施。前任者が4年・前々任者が10年ほど会長を務めたことを受け、周囲からも同じ程度の任期を期待されることを、「短期間という認識で引き受けたので、少し戸惑いを覚えている」と照れながら微笑む。団体としては、静岡県松崎町が主催する全国規模の「漆喰鏝絵(しっくい・こてえ)コンクール」の審査員も担当しており、日本古来の建築素材である、漆喰を鏝で描く魅力の発信をサポートしている。


【あらゆる機会を有意義に】
神奈川県左官業組合連合会では近年、技能検定試験や技能コンクールなどを実施することで、若手職人の育成強化を試みている。昨年は、青年部を中心にした日頃の積み重ねが実り、会員を全国大会に出場させることができた。舘花会長自身も22歳で神奈川チャンピオン、37歳で全国2位となる実績を残しており、「このような機会を有意義に活かし、職人として確固たる自信を得られる仕組みを構築することが重要」と見立てを述べる。舘花会長の入会時は横須賀エリアのみで400人近い組合員が在籍していた。しかし、現在は40人弱にまで減少する現状を前に、「この悪い流れを変えるためにも、何か新たな策を打つ必要がある」と覚悟を見せる。昨年12月に施行した改正建設業法などの追い風も背景に、左官業界の更なる活性化を目指している。

【伝統を次世代に引き継ぐ】
舘花会長は、「柔らかい原材料を基に、1つの形を作り上げるのが左官業。この特殊技能が必要な工程は、専門工事の中ではNo.1だと信じている」と明言する。左官の起源は、縄文時代の竪穴式住居。飛鳥時代には、石灰で白塗りの壁を仕上げる技術や、細木の壁を作る技術などが生み出され、それ以降も独自の発展を遂げてきた。最近では、江戸城再建の話が盛り上がりを見せていることもあり、「実現に向けて話が進むなら、全体の8割以上が左官業の出番となる。このようなチャンスを掴めるよう、連合会としては1人でも多くの組合員が携われる想定も始めたい」と意欲を見せる。古来、官邸に出入るには官職が必要になると、建築の壁塗りに携わる人に与えられたとも言われる「左官」の称号。この伝統を次の世代に引き継ぐため、舘花会長は前のめりの気持ちを示している。

【最後かつ最も重大な仕事】
一朝一夕では獲得できない左官という技術。舘花会長は残りの建設人としての人生を、「団体のトップとして、若手入職者の促進と育成に全力を尽くす」と決めている。組合で定期的に実施する出前授業では、中高生に実技だけでなく、歴史や由来なども過不足なく伝承する。最初は何気なく聞いていた生徒が、時間が経つにつれて目を輝かせ、必死に作業に取り掛かる姿を見ると、「やはり長く繋いできた左官技術を後世に残したい」との思いが倍増するという。建設業界の現状は極めて厳しい状況に直面している。しかし、舘花会長は「これが最後かつ最も重大な仕事」と決意を固め、自身が為すべき業務に集中している。

この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。







