島根県鉄筋工事業協同組合
更新日:2026/4/15
【県内全ての鉄筋工事業者が加盟】
島根県鉄筋工事業協同組合には、県内にある全ての鉄筋工事業者が加盟している。同組合は、1985年4月に任意団体「島根県鉄筋業組合」を立ち上げ後、2010年に「島根県鉄筋工事業協同組合」として設立。当初から理事長を務める人物が、佐藤幸一氏(美保鉄筋・取締役会長)である。佐藤理事長は、「団体として停滞期を迎えることもあったが、2014年度からは全国組織である『全国鉄筋工事業協会』にも加入を果たせた。建設業界全体が慢性的な人手不足に苦しむ状況下だが、県外の鉄筋工事業者とも連携を取ることで、何とか生き残りを図りたい」と展望を語る。組合では、「鉄筋技能検定」の普及促進を図るほか検定を受験する若手職人に「合格のためのセミナー」を開催するなど、積極的な活動を展開している。


【未来を見据えた動きを】
組合としては、松江工業高校やポリテクカレッジ島根などの工業高校で「鉄筋出前講座」を開催するなど、業界の未来を見据えた動きも手掛けている。「業界全体の先行きが不安視されている現況だが、団体としては今後の希望である高校生に向け、鉄筋業の魅力を伝える活動を止める訳にはいかない。講師に派遣される組合員も生徒と触れ合うことで、いつも大きな刺激を受けている。地道な活動になるが、このような活動を継続することで、将来への光を絶やさない努力をしたい」と前向きな姿勢を示す。組合では、結束線やスペーサーなどを一括購入し、会員に安価で提供することで負担軽減の機会を設けている。特に近年では、組合員の地位向上を実現するため、国や県、地元建設業協会に対して、職人の労務費を上げるための陳情などを行っている。実際に現場で働く職人の状況や本音、今後の見通しなどを丁寧に説明したことが理解され、全国で最低であった公共工事設計労務単価は、増加傾向にある。


【事業承継を決意】
佐藤理事長は、1978年に「美保鉄筋」を創立した。社名は、出身地である「美保町」を由来としており、50年近く経った今もなお、島根県の鉄筋工事業界を牽引する存在として際立った活躍を見せている。「ここまで当社が成長できたのは、常に安全・品質・施工を追求してきた点。また、初期の段階から社員に対して、適格な技術指導や周囲への配慮、地域貢献の意識付けができた点が大きかった」と振り返る。2013年2月には、宮城県登米市に「東北美保鉄筋」を設立。東日本大震災の発生後、東北地方の復興の一助になれるよう、今なお現場での業務を続けている。自身が組織を運営する社内では、島根原子力発電所の施工を複数年で携われるタイミングを見計らい、後進に事業を承継することを決意。この数年の期間内に、代表取締役専務である息子の佐藤大樹氏にバトンを渡す準備を始めたという。「会社は生き物。無事に全ての引継ぎを終えるまで細心の注意が必要になるが、企業の永続に繋げられるよう全力を尽くす」と並々ならぬ決意を見せている。

【最後の仕事をやり切る】
「鉄筋工事標準見積書」が徐々に広がりを見せる中、島根県での活用は「各会員の判断に任せている」と話す。理由は「直近で労務単価が上昇を見せたことに加え、現段階では見積書の詳細が理解できていないからと考えている」と見立てる。様々な外的要因により、短期間で利益の幅が増減する現在地。状況次第では、様々なことが起こり得るが、「今の最優先事項は組合員全体が団結すること。組合内で福利厚生の充実化を進めている強みも活かし、引き続きダンピングを未然に防ぐ活動も実施する」と意欲を見せる。長い年月を経て磨き上げた技術、数々の実績により手に入れた自信、鉄と向き合うひたむきな情熱。佐藤理事長は、これまで自身が蓄積してきた知見の全てを、未来を担う若者に伝承することを「最後の仕事」と定義する。「まだ私には、為すべきことが残っている」。この飽くなき情熱が、今後の鉄筋工事業界の支えになっていくはずである。
美保鉄筋のホームページ:https://miho-tekkin.jp/
この記事を書いた人
クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。







