クラフトバンク総研

東京都中小建設業協会

更新日:2026/8/18

【新会長に渡辺健司氏が就任】

 今年5月に開催された東京都中小建設業協会の通常総会で、渡辺健司氏(渡辺建設・代表取締役社長)が新会長に就任した。これまで約40年にわたり協会活動に携わってきた渡辺会長は、「会長になることは、まったく想定していなかった」と本音を明かす。就任を決意するきっかけとなったのは、自身もかつて代表を務めた同協会の青年経営者組織「東京都若手経営者の会」で親交の深い山口巖氏(山口建設・代表取締役社長)、渡邊裕之氏(渡邊建設・代表取締役)の存在だ。二人が続けて会長を務めたことで、協会の体制刷新と若返りが加速し、その流れの中で自身もバトンを受け取る覚悟を固めたという。渡辺会長は「歴代の諸先輩方が築いた伝統と信頼の重みを受け止め、身が引き締まる思いだ。当協会の役割は、東京都のインフラと地域社会の安全を守ること。会員企業が一丸となり、将来にわたって誇りを持てる産業に発展できるよう全力を尽くす」と実行力のある団体運営を心掛けていく考えを示した。

【適正な発注環境を要請】

 業界最大の課題である「担い手不足」の解消に向け、渡辺会長は「一刻の猶予もない」と危機感を募らせる。人材確保に不可欠な週休二日制の定着や賃金水準の向上などの処遇改善に関しては「施策を断行する責任は元請企業にある」と指摘。その一方で、「原資となる適正な工事価格と工期の確保が不可欠だ」と発注者側の理解を強く求めている。現場が真の意味で持続可能な形になるよう、中小建設業の実態に即した発注環境の実現を行政に働きかけていく構えだ。協会での活動としては、都立工科高校との連携や戦略的な広報活動を通じて、若年層や女性、異業種の人材が「建設業で働きたい」と思える仕掛けづくりも念頭に置く。昨年度からは「都立工科高校と産業の団体との連携推進協議会」に参画するなど、教育現場との接点を強化し、次世代に向けた魅力発信にも意識を向けている。

【身近な効率化からDX定着を】

 渡辺会長は、「今後の建設業にDXの推進は不可欠だ」と断言する。中小企業にとって初期投資の負担が大きい実状を踏まえ、「最初から大掛かりなシステムを取り入れるのではなく、スマートフォンによる写真管理や書類のデジタル化など、身近な効率化から着手する姿勢が肝要だ」と段階的な導入を提言。協会として事例共有や補助金活用のサポート体制を強化し、会員企業をバックアップしていく姿勢を示す。昨年実施して好評を博した「生成AI活用セミナー」を更に充実化させ、省人・省力化に直結する具体的なノウハウ提供を継続する方針も掲げる。渡辺会長は、昨今のAIへの過度な依存傾向を懸念しつつも、従来の膨大な無駄の削減や人手不足を補う有効性を高く評価しており、「AIを賢く使いこなす環境を整えることで、建設業界の生産性を大幅に底上げしたい」と明確なスタンスを見せている。

【強固な連携で東京の未来を支える】

 協会の今後の活動として、渡辺会長は、「若手経営者の会」を全面的にバックアップしていくことを明言。若手経営者が研鑽を積み、健やかに成長できる基盤づくりを支援する意向を示した。こうした次世代への支援を支えるのは、盤石な組織体制だ。渡辺会長が「新体制」に大きな期待を寄せる背景には、長い時間をかけて仲間たちと築き上げた強固な絆がある。「協会には業界や地域のために労を惜しまず、嫌な顔1つせず手助けをする頼もしい役員が揃っている」と語る表情には、強い信頼と誇りが滲んでいる。新体制のもとチームで一丸となって歩みを進める同協会の取組みは、地域建設業の確かな未来を切り拓いていくはずである。


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