地域No.1を目指す加藤工業が、工種追加も視野に躍進へ
更新日:2025/3/27
加藤工業(和歌山市)が2024年に、全国仮設安全事業協同組合(ACCESS)への入会を果たした。加藤隆志社長は「きっかけは、エイチの千田英治専務に出会えたこと」と語る。それ以前からInstagramなどSNSを通じて認知はしていたが、実際に会うとその存在感に圧倒され、「私が10年後に実現したいと考えていた業務を手掛けており、大きな影響を受けた」と振り返る。昨年10月に参加した安全大会では、青年部を代表して安全宣言を担うなど、既に活躍を見せている。


加藤工業は2013年2月に法人化を実施。特に独立の意思が強かった訳ではなかった。しかし、社員として1年ほど職人から内勤の仕事を任されるようになると、社内の数字を一通り把握できるようになり、「これなら自分でもできるはずという気持ちが芽生えた」と当時の心境を語る。2年間の個人事業主を経て、「より多くの資材を購入するには信用力が必要。それには会社を設立する必要がある」との決断に至ったという。会社として軌道に乗せるまでは、慣れない営業・事務作業をこなす必要もあり、苦しい時期も続いた。だが、1つの現場を確実にこなすことで、少しずつ信頼を積み重ね、今では16人の社員が所属するまでの成長を見せている。

橋梁足場を強みとする加藤工業だが、「エイチさんのように、補修関連の案件にも取り掛かれるよう準備を進める」と意気込みを述べる。この課題を克服するには、会社の規模を拡大させ、これまで培った技術・知識を更に社内で浸透させる必要がある。社長と同世代である30~40代前半が主軸のメンバー構成を見ても、特に若手の採用・育成は急務であり、昨年からは高校生の勧誘も開始した。自身の入職当初は「とにかく給与を上げてほしい」ばかりを考えていたが、現在は「給与は現状維持で構わないから、休みを増やして下さい」と言う若手に戸惑いを覚えることもある。しかし、「中長期的な視野に立つと、この現実を受け入れ、心地良い職場を作りに専念することが重要事項」と先を見通せる視野の広さも持ち合わせている。

「2025年は、塗装・土木などの工種も追加し、公共工事の元請けになる足掛かりの年にしたい」と意欲を見せる。その実現には会社の発展に集中し、自身が不在の時でも問題なく回す組織を確立する必要がある。直近の目標は「地域で1番の企業に成長すること」。手が届きそうな位置に居ることは間違いないが、「到達までには、もう少しだけ時間が掛かる気もする」と微笑みながらも冷静な分析をする。加藤工業は持前の機動力・技術力を武器に、今日も順調な躍進を続けている。

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この記事を書いた人

クラフトバンク総研 編集長 佐藤 和彦
大学在学時よりフリーライターとして活動し、経済誌や建設・不動産の専門新聞社などに勤務。ゼネコンや一級建築士事務所、商社、建設ベンチャー、スタートアップ、不動産テックなど、累計1700社以上の取材経験を持つ。
2022年よりクラフトバンクに参画し、クラフトバンク総研の編集長に就任。企画立案や取材執筆、編集などを担当。現在は全国の建設会社の取材記事を担当。