地域・顧客に寄り添う経営を継続 山ちゃん建装
更新日:2025/3/31
盛岡市を中心に住宅のリノベーションやリフォーム事業を展開する山ちゃん建装(岩手県盛岡市)が、昨年6月に創業から3期目を迎えた。山内剛社長は、「苦しい時期が続いたこともあったが、周りの助けもあって続けることができた」と感慨深げに振り返る。専門学校で建築学を学んだ後、修業を積み2014年に個人事業主として独立。既に存在する多くの同業他社と差別化を図る中で、「まずは社名を覚えてもらいたいと考えた。思い出しやすく、キャッチーな名前を付けよう」と考え、自身のニックネームである「山ちゃん」を屋号にした。2022年6月に法人化し、「山ちゃんに任せれば安心」と言われる会社を目指し業務に励んでいる。

山内社長は、「ここ数年、世の中は大きく変化しており、これまで当たり前だった『住まいは新築』という考え方も薄れつつある」と近年の動向を指摘する。生活スタイルと同様に、住居の形も多様化している中、いかに顧客のニーズを汲み取り、迅速に対応できるかを念頭に置き、日々作業に当たっている。「難工事も多くあるが、『終わらない仕事はない』と考えて全力を出してきた。これまでの経験を活かしながら、何よりも安全最優先での業務を心掛けている」と心持ちを表す。


同社のユニークな取り組みの1つに、盛岡市の伝統行事である「さんさ踊り」への参加がある。山内社長は「私自身さんさ踊りが大好きで、コロナ禍前から『会社として出たいね』と社員と話していた。出場したいとは思いつつ、練習日程が合わないなどの理由から、自身で独自に団体を立ち上げて出場しようかとも考えていた」と経緯を明かす。2023年に長年の構想期間を経て、「ガテン系ダンサーズ」として協力会社と共に初出場を果たす。建設会社の技術力を終結させた花車は観客の注目を集め、パフォーマンス賞を受賞したほどの盛況ぶりだったようだ。


今後の目標を聞くと、「売り上げを倍増させていきたい気持ちもあるが、まずは安全を重視する形で、4期・5期と堅実な経営を継続できる体制を築きたい」と本音を話す。直近の課題としては、若手の定着と育成を挙げており、どのような状況でも満足の行き届いた教育ができる環境の確立も意識しているようだ。モットーは、「これまで培った技術やフットワーク、決め細やかなサービスによって、お客さま満足度向上を実現させること」。地域社会への貢献を念頭に山ちゃん建装は、今日も顧客に寄り添った仕事を手掛けている。


この記事を書いた人

クラフトバンク総研 記者 川村 智子
新卒で入社した建設コンサルタントで、農地における経済効果の算定やBCP策定などに従事。
建設業の動向や他社の取り組みなどに興味を持ち、建通新聞社では都庁と23区を担当する。
在籍時は、各行政の特徴や課題に関する情報発信に携わる。2024年よりクラフトバンクに参画。
記者として企画立案や取材執筆などを手掛けている。